めかくし

「――では、続いてのニュースです」

今にも崩れ落ちそうなボロアパートの一室。

「今日で涼一君が行方不明になって三週間経ちました。依然手がかりが見つからないことから捜査本部は人員を――」

その夏は異常に暑かった。
少年は汗だくになりながら古びたアパートの天井を見上げる。
首を振る扇風機は音ばかり煩くて肝心の風が生ぬるかった。
自然と流れ落ちる汗を手で拭い今度は見下ろす。

「何か事件に巻き込まれたとして「うるさいなー」

すぐそばに落ちていたテレビのリモコンを掴んだ。
そしてうんざりした様子でチャンネルを変える。
だが今の時間どのチャンネルもくだらないワイドショーしかやっていなかった。
適当にチャンネルを変えるとつまらない芸能ニュースがやっている。

「はぁ、はぁ……うぐ……」

すると下から呻くような声が聞こえた。
テレビに気を取られた彼はその声に気付くとリモコンを傍に置く。

「おじさん。まだ疲れちゃ駄目だよ」
「そんなこと言ったって、お前…っはぁ…」

少年は男の体に跨ったままそっと蹲る。
中年男性特有の腹は脂肪で膨らんでいた。
前かがみに倒れると自分の腹に心地良く響く。
白いタンクトップから覗く胸毛は汗で湿っていた。
もじゃもじゃ頭はいつ風呂に入ったか忘れるほど臭く汚い。
まるでツバメの巣みたいだ。
それなりの生活をしていれば厳つい顔をしているのに今はただの親父だった。
元とび職というだけあって元々ガタイは良い。
その上にちょこんと乗った腹の脂肪だけが柔らかく揺れていた。

「今日だけで何回しているっていうんだ。しかもこんな格好でっ」
「だっておじさん解いたら僕の言うこと聞いてくれないでしょ」

敷きっ放しの布団はカビ臭い。
その上に転がっていた二人の体は体液まみれだった。
おかげで不衛生な環境にも構わない。

「聞くも聞かないも俺はっ…はぁっ、くぅ…っ」

男は身を捩った。
目が覚めた時から腕を上げた状態で縛られていた。
しかも自分の体の上には少年がのしかかっている為、身動き取れない。
そのまま体を繋げて何回も果てた。
だが目の前の少年は飽きることなく跨っている。

「ふぁあ…ぁっ、また大きくなったっ…ホント、どうしようもないおじさんだねっ」

彼は楽しそうに笑い腰をくねらせた。
妖艶なグラインドに男の性器は硬さを取り戻す。
自分よりずっと小さな子供に蔑まれ、笑われるさまは実に無様だった。
だが少年のアヌスはヌメリ彼の男根を優しく包み込む。
そうすれば自ずと元気になってしまうのだ。
悲しい男の性が目覚める。

「ひあ…ぁっ、おじさんも動いてよっ、ぼくっ疲れちゃうでしょ…っ」
「はぁっ、そんな激しく動くな…っ、締まるだろうがっ…」
「だって、だってっ…ぼく待てないもんっ…!」
「クソガキがっ」

好き勝手に暴れ狂う少年に下から突き上げた。
ぐちゅりと水音が耳に障る。
穴から漏れた体液がまた布団を汚した。
朝からトイレに行けず全部少年の穴で済ませている。
おかげで異臭が室内に篭り酷い有様だった。
仮に他人が入ってくればあまりの臭さに顔を歪めるだろう。
だがずっとこの部屋にいた二人にはそれほど凄まじい匂いだと思っていなかった。
とっくに体の機能は慣れて麻痺している。

「あぁぁあ…っ、きもちいっ、おじさ…っ、んぅっ」
「馬鹿野郎。あんまり大声出すな。近所に聞こえるだろ」
「はぁっ、ん…大丈夫だよ…っだって今の時間ならみんないないもんっ」
「わかんないだろうが」

男はお灸を据えるつもりで強く突き上げた。
だが結果として少年を悦ばせてしまったらしい。
恍惚とした表情で喘ぐと倒れてくる。
布団の上でモゾモゾと動く二人は芋虫のようだった。
少年は猥らな肉体を解放させると前後に動く。
そうして男の肉棒と穴を擦り合せると歓喜の涙を流した。
ドロドロな下半身に男の陰毛は濡れている。
それが少年の性器に擦れてくすぐったかった。
抜けた縮れ毛が絡みつきいやらしい。

「ぼくっ、んんぅ…このお腹大好きっ…」
「くぅ…っ、そりゃ…あ良かったな…っ」
「ぽよぽよしてるの可愛い」

(そりゃあ脂肪の塊なんだから当たり前だろうが)
男はそう言いそうになってやめた。
この少年にそんな話をしたって意味がないからだ。
自分だけ真面目になっても馬鹿馬鹿しい。

「感じているおじさんの顔も好きだよ」
「はぁ…っく、うるせ…えっ…」
「あぁっん…っ、怒ったの?はぁ…あぁっ…」

それでも少年はまじまじと男を見ていた。
どうやら彼の反応が気に入ったらしく上機嫌で体を弄りだす。

「あ、っおい…んぅ、ふ…」
「はぁ…っ、たまんないからっぼくもおじさんの乳首吸ってあげる…っ」

少年は楽しそうにタンクトップを捲り上げた。
だらしない上半身に似合わない剛毛が胸からヘソの下まで続いている。
湿っているせいで擦るたびにジョリジョリとした感触が残った。

「はむはむしてあげる」
「ん、あっ…やめっ、ろっ」

だが手をきつく縛られて身を捩る事しかできない。
その間に少年は胸毛のジャングルを舌で掻き分けた。
そうして見えてきた乳首は色素が沈着して茶色い。

ぺろっ。

少年は見せ付けるように乳首を舐めた。
すると男の下半身はピクリと震える。
それが面白かったから今度はペロペロと舐めてみた。
まるで猫がミルクを飲むみたいに舌を這わす。
これは全部男が少年にした行為だった。

「おじさんの乳首しょっぱい」
「はぁ…はぁっ、当たり前だろ」

これだけ汗をかけば無理もない。
暑い日中にエアコンも付けずに扇風機だけで過ごしているのだ。
しかも風呂に入らずセックスをしているのだから無理もない。

「じゃあちゅうちゅうする」

すると今度は乳首に吸い付き始めた。
そのむず痒さに顔を歪める。
何より屈辱的だった。
小さな子供に乳首を責められているなんて信じられない。
弄るように胸毛を触る少年の手つきはいやらしかった。
まるで売春婦のように手馴れている。
なによりこれだけの体に嫌悪感を示すどころか酔っているのだから驚いた。
男の体の上で泳ぐように這う彼は小さくて軽い。

「あぁ…っ、くそ…っ」

(縛られていなければ立場が逆転するのに)
自分よりずっと小さな存在に責められているという事実が悔しかった。
慣れない乳首への刺激にペニスを硬くさせる。
そうすれば今度は彼のアナルが男を締め付けるのだ。
精も根も尽きかけの男は振り絞るように動き続ける。
全ては少年を満足させる為だ。
愛を確かめ合う行為でもなければ己が満足する為の遊びでもない。

「あぁ…あっ、それすきっ、きもちい……っ!」
「ああそうかよっ、この淫乱っ…」
「ひぁ…ぁぁあっ…あっ…」

だが少年の顔を見ると欲情してしまう。
恥も外聞も捨てて喘ぐ顔はいやらしくも美しかった。
もっと泣かせてやりたくて気持ちが昂ぶる。
汗で張り付いた黒髪が扇風機の風で軽やかに揺れた。
白い肌を流れる涙は可憐で無垢な少女のようである。
一瞬見とれた男は力むように踏ん張った。
コリコリとした内壁を突っつき少年の反応を見る。

「あぁ…ぅ、んっ…ぼくもうバカになっちゃぁ…あっ」
「お前…っ、とっくに馬鹿だろうが」
「ひぅぅ、うぅっ…おじさっ、おじさぁ…あっ」

彼はよほどイイところに当たっているのか体を仰け反らせた。
そのまま後ろに手を付き腰を押し付けて喘いでいる。
エビ反りになった少年は甘い声で鳴いていた。
半開きした口からは涎が垂れて鎖骨にまで続いている。
カーテンの隙間から射した日の光に反射していた。
少年の白く透き通った肌が露になっている。
ここ数日残されたキスマークの痕が淫らに咲いていた。
髪の毛を振り乱した彼に羞恥心はない。
純粋な性欲だけで彼は動いているのだ。
それが何とも無防備で男心を擽る。
成長途中の中性的な体はいつ見ても艶かしい。

「おじさんのちんこっ、きもちいっ…ずっとぼくにハメハメして…っ?」
「くぅっ、無理…っんなの出来るかっ…はぁっ」
「だめ…っ、だめ…えっ、だっておじさんがぼくに教えたんだもんっ」
「そうだけどっ……」

少年は哀願するように首を振った。
だが体力的にはもう厳しい。
盛りを過ぎた体には酷な運動だった。

「にゃ…あぁっ、いいっていうまで…だめっ…ぇっ」

すると少年は妖しく口許を上げた。
あれだけ振っていた腰を落ち着かせると抜き取ろうとする。
僅かに亀頭だけが埋まった状態で動きが止まった。

「ちょ…っおい…ふざけんなっ」
「だっておじさんがうんって言ってくれなかったから」
「だからって!」

これでは蛇の生殺しである。
赤黒い肉棒は外気に晒された。
その途端むわっとした獣の匂いが充満する。
僅かに収まった先端はトロトロな内壁に包まれて天国だった。

「くそっ…くそっ…」

男は中途半端な快楽に必死で腰を突き上げる。
だがその度に少年も腰をあげた。
そのせいでどこまでいっても根元まで入らない。
先端だけが虚しく頭を埋めていた。

「くぅ、んっ、入り口が引っ掛かってる…っぅ、これもきもちい、ね?」
「はぁっ、おい…っ…あぁっ…」
「必死に腰を動かしているおじさんも可愛い」

彼は大きな図体を持て余しながら必死に腰を突き出した。
まるでパン食い競争のように滑稽な眺めである。
男が動くたびに腹は揺れた。
肉体は悲鳴を上げているのに本能が伴わない。
あとで後悔すると分かっていて動きを止められなかった。
貪欲に快楽を追い精を放つチャンスを待っている。
それは生き物全ての雄に言えることだった。
――つまり自然の摂理である。

「はぁ…ぁあん、そんなにぼくのお尻に挿れたいの?」
「あ、あぁ…挿れたいっ、早く挿れたいんだっ…」
「もう堪え性のないおじさんだなぁ。子供のお尻にちんこ挿れたいなんて馬鹿みたい」
「くっ、はぁ…っ頼む、頼むから挿れさせてくれっ」

男は苦悶の表情で懇願した。
まるで立場が逆である。
だが少年は許すはずもなく結合部分を見せ付けるだけだった。
そうして煽りに煽り剥きだしの本能を暴こうとする。

「ひぁ…あ、見て?糸引いているっ、おじさんが精液もおしっこも流し込むからだよぅっ」
「はぁ、あぁ……あ…」
「あとでペロペロしてくれる?ぼくのお尻綺麗に舐めてくれる?」

そう言って少年は足を開いた。
ギチギチに咥え込んだアヌスは赤く腫れて淫靡な香りが漂っている。
後ろに手を付いたまま開いた下半身に全てが丸見えだった。
少年の勃起したペニスはガマン汁を垂れ流し周囲を汚している。
穴から漏れる精液は白く糸を引いてポタポタと落ちた。

ゴクリ――。

男は思わず息を呑む。
常識的に考えてそんな汚いところは舐めたくないはずだ。
だが淫猥な体で誘われたら我慢が出来ない。
自分の出した体液まみれだと分かっていて欲してしまう。

「あ、ああ。もちろんだ」
「ほんとう?」
「舐め回してやる。お前がよがり狂うまで舐めさせてくれ…」

少年の体を見ているだけで体が滾った。
ムラムラと情欲が抑えきれずに生唾を飲み込む。
途端に体が乾くような焦燥感に襲われてたまらなくなった。
(早く腕の拘束を解いて犯したい)
少年だってそれを望んでいるのになぜ解いてくれないのか謎だった。
こんなまどろっこしいことをしなくて済むとわかっていて少年のお遊びは続く。

「嬉しいっ…ぼく、おじさんの舌も大好きっ」
「はぁ…、ぅ、だから早く……っ」
「初めての時なんてぼくのお尻から離れなかったもんね。ぼく、あまりに気持ちよくて寝ちゃったのに起きた時はまだしゃぶりついてた」

男は若さゆえの激しさには自信がなかったが、代わりに執拗な愛撫は得意だった。
いつもねっとりとしつこいセックスで翻弄する。
中年ゆえの卑猥なしつこさがたまらなく気持ち良かった。
その間に少年の体は蕩けて出来上がってしまう。
それは抗いがたい魅力であった。

「じゃあご褒美をあげるね」

するとようやく許したのか少年はゆっくり体を落としていった。
だが焦らされてこれ以上にないほど体が火照る。

「ひゃあ、あぁああ…ぁあっ…っ」

結果待ちきれず途中まで挿入されたところで思いっきり突き上げてしまった。
一気に根元まで挿れられると少年もたまらない。
歯を食いしばって耐えようとしたが、腰が抜けてしまった。
足は支えきれず重力に従うまま下に落ちる。
それどころか腰砕けで力が入らず押し付けてしまった。

「イっ…はぁ…あああっ、あぁっ…」

深いため息のような嬌声にペニスから精液が飛び散る。
少年はその衝撃にイってしまうと男の前で派手に射精してしまった。
勢いよく飛び散った精液は男の上半身にまで及ぶ。
皮の被った幼い性器から白濁液が溢れ出た。

「止まらなっ、きもちよすぎて…ちんこが止まんないよぅっ…」

男の視線を感じて挑戦的な眼差しを向ける。
それでも見せ付けようとする根性は凄い。
どこまでも自分が優位に立ちたいみたいだった。

「そんなに好きなのっ?ねぇ、乱暴にしちゃうぐらいぼくのお尻きもちいいのっ?」
「あぁ…う、最高だっ…たまんねえっ」
「じゃあいいよっ…すきにしてっ、ガバガバにしてもいいからぁっ…!あぁっ」

すると少年は男の体にしがみ付いた。
そして勢いよく転げると強引に体位を変える。
シーツの皺はその動きに合わせて突っ張った。
繋がったまま体を入れかえると腰に巻きつく。

「あぁ、あああっ、さっきより奥にきた…ああっ…ぁっ」

男が組み敷くような体勢になった。
そのせいで少年の体は彼の腹に潰される。
僅かに苦しかったが、今の彼にはそれすら快感だった。
むしろ重たい体が圧し掛かって更に奥まで挿入される。
それが満足だった。

「はぁ、はぁ…あぁっ…」

ようやく立場が入れ替わった男は目をギラつかせる。
あれだけ煽られたのだから当然の話だ。
たとえ手は不自由でもこれなら優位に動ける。
男の体の下で少年はワクワクしていた。
我慢させるだけして解き放たれた男の欲情をぶつけられたい。
だからせがむように腰を揺すった。

「くそっ、生意気なガキめっ――!」
「うぐっっ…うぅぅっ、はぁ…ぁああっ」

男は激しく動き出した。
さすがの少年も巨体の下では動くに動けず甘んじて許してしまう。
苦しそうなうめき声が響いたがそれもすぐに甘くなった。
胸毛が頬に擦りついてむず痒い。
なにより男臭くてどうにかなってしまいそうだった。

「お前の穴っ気持ちよすぎなんだよっ…っ」
「くひっ、あぁっ…はぁ、あんっ…はぁ…っ…」

もはや少年の体は人形に過ぎない。
いいように弄ばれて性処理に使われるだけだった。
普段より獰猛になった男は乱暴なほど激しく貪りつく。
少年は呼吸もままならないまま犯された。

「はぁ…あぁっ、子供相手にっそんな腰振って恥ずかしくないのっ?」
「うるせえっ…はぁっく、お前は黙って穴を晒せばいいんだよっ…」
「ふぅ、っ…きゅうにっ、強気に出ちゃって…も、可愛いよぅっ」
「だまれっ。クソガキ!」

男は汗を拭き出しながら陵辱の限りを尽した。
古びたアパートの床は軋み、嫌な音を立てる。
下の住人がいたとしたら、さぞ不愉快だろう。
否、勝手に想像して抜いているかもしれない。
それを思うだけで少年は面白がった。
馬鹿な大人が自分の体に欲情して目を血走らせている。

「ひぁ…あっ、ああ…あっ」

二人は布団の中をゴロゴロと転がりならまぐわい続けた。
いつの間にか枕も吹っ飛び、扇風機も倒れてしまっている。
それでも男は自分が満足するまで体を離さなかった。

――ようやく我に返ったのは、それから二回少年のアナルに射精してからだった。
とっくに昼を過ぎ、汗まみれの体は動けなくなる。

「そうですね。事件事故、両方の可能性がありますからね」

テレビでは午後のワイドショーが始まっていた。
司会の横で偉そうな肩書きをもったコメンテーターが意見を述べている。

「もしかしたらこれから誘拐犯から接触があるかもしれません。とにかく今は涼一君の安否を――」

少年はそこでテレビのスイッチを切った。
すぐ横では荒い息を鎮める男が彼を見ている。
男のペニスは元気を失い垂れていた。
消耗した体力に茫然と定まらない瞳と目が合う。

「まだ、だよ」

すると少年は口許を上げた。
そしてまた男の体に跨る。

「か、勘弁してくれ」

さすがの男も、もう限界だった。
このままでは精気を吸い尽くされかねない。
一切の力が入らないことに怯えすら感じていたようだった。
のし掛かる少年に訴えるような顔で首を振る。
もう自分では手に負えないと思っていたのだ。

「もう、許してくれ。頼むっ、縄を解いて――」
「…………」
「警察に出頭するし、ちゃんと罪を償うっ。二度とこんな事しないからっ」

男の目は必死だった。
疲れ果てぐったりとした体で慈悲を乞う。
空腹と無理な体勢が続きもはや限界だったのだ。
強張った体が辛い。
煽られて何も見えなかった分、我に返ると疲れがどっと押し寄せた。
朦朧とする意識に軋む体はもう若くない。
実に情けない姿だった。

「だからダーメ」

しかし少年は許さない。
流れ落ちる汗に少年は輝いて見えた。
蒸すような暑さの室内はもはやサウナのようである。
部屋の隅に倒れた扇風機はガタガタと首を振るに振れず天井に風を送っていた。
蛍光灯から垂れ下がった紐だけが涼しそうに揺れている。
男は何とかして縄を解けるように身を捩った。
そうすればこんな部屋から簡単に逃げ出せる。
見上げた少年の顔は自分を手放してくれるとは思えなかった。
ようやく自分のしてしまったことの重大さに気付くと顔を真っ青にする。

「おじさんがここに連れて来てくれたんだから」
「だ、だからそれはっ――」

すると少年は布団の下から小さなカッターを取り出した。
それに気付いた男は目を見開くと言葉を失う。
プラスチックから出てきた刃は無防備で鋭かった。
少年は玩具のようにカッターを手にして、そっと彼の性器に押し当てる。

「ダメだよ。ちゃんと最後まで匿ってくれなくちゃ、――ね?」

END