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「ヒントっていうか、大学の頃は超金持ちでちょっとした有名人じゃなかったっけ?」
「…………あっ!!!」

するとその言葉に思い当たる節があったのか脳が覚醒するみたいに呼び戻された。
そして切り返すように香子の姿を見る。

「あっ、まさかサンタを信じてるっていう…」
「そうです!!やっと思い出してくれました?も~先輩遅すぎですよ」

サンタの話が強烈過ぎてすっかり本人を忘れていた。
サークル自体あまり活動が盛んじゃなかったし、後輩の女の子と話すことも少なかった。
お蔭で意識の底に眠っていた記憶が蘇る。

「へぇ、奇遇だね」
「今更じゃないですかっ」

あたかも最初から覚えていたような素振りをしていたら、やはり突っ込まれた。
それを隣で谷山が苦笑しながら聞いている。

「でも香子だって最初は桂木を覚えていなかったんだからおあいこなんじゃない」
「そ、そうですけど…」

すると上手く谷山の手によって丸め込まれた香子は大人しくなった。
俺はそんな二人に安堵を覚えてホッとしながら思っていた事を呟く。

「で、二人はデートってか」

谷山と香子は見るからに今までレストランで食事してきましたという装いだ。
大体そういうのは雰囲気で分かるものである。

「おっ、相変わらず鋭い」
「今日はイヴだしね」

辺りを見回せば同じようなカップルが沢山いた。
この寒さを微塵にも感じさせず仲良さそうに歩いている。
その姿を幸せそうで何より、と独り身の俺が呟いたら皮肉に聞こえそうで嫌だった。
だから余計な事を言わずに簡潔に済ます。
二人がどうやって知り合ったのか若干気になったがお互い悠長に馴れ初め話をする気はなかった。
何せ谷山と香子はデートの途中である。
だから俺は谷山の言う世間ってヤツは思ったより狭いという考えで完結させた。
向こうも俺に気を遣ってこちらのことは聞いてこない。
お互い大人らしいスマートな会話を楽しむと最後に「良いお年を」とお決まりの挨拶を言って終わらせた。

「じゃあまた」
「またな」

二人は俺に会釈をすると逆の方へと歩き出した。
香子のオフホワイトのコートがイルミネーションのように夜の街に映える。
風に靡いた髪の毛は艶っぽく揺れた。
楽しそうに笑い合う二人。
可愛らしいピンヒールの足音が徐々に小さくなっていく。

「――あのさっ!」

気付けば俺は叫んでいた。
無意識に放ったせいか一番自分が驚いていたが関係なかった。
その声に二つの影は振り返る。

「湯沢っ」
「え?」
「その…」

香子はいきなり自分の名前を呼ばれた事に驚いたのか何度も瞬きをした。
隣の谷山も不思議そうに俺たちを見ている。

「…おまえ、まだサンタは信じているのか?」

呟いたセリフは実に俺らしからぬ発言であった。
それを物語っているのは目の前に居る二人の表情である。
一目で自分が何を言ったのか理解すると恥ずかしくなって顔を見ていられなくなった。
だから顔を背けると参ったように頭を掻く。
いい歳した大人が何を言っているのだと、言った先から後悔したが止められなかった。

「もちろん」

すると俯く俺に香子のひと際明るい声が響く。
だから思わず顔を上げて彼女の顔をまじまじと見てしまった。
その表情には一点の曇りもなく疑う様子もない。
さも当然といった彼女の言葉にはどこか説得力があった。

「当たり前じゃないですか」

最後に言った台詞にはどこか誇らしさが感じられた。
二人は俺に手を振るとそのまま雑踏の中に消える。
だが俺はその場から動けずその意味を問いただしていたかった。
(馬鹿馬鹿しい)
乙女ちっくな妄想には懲り懲りであった筈なんだ。
いや、彼女はあくまで他人事として軽々しくそんな事を言えたのかもしれない。
だけど心の奥に引っかかった欠片が抜けてくれなかった。
まるで喉の奥に小骨を引っ掛けたような歯痒さでいっぱいになる。
ここまでくるとまるで自分の頭が固いだけに思えた。
(サンタはいる、のか?)
理論的にありえない。
いや、でもまさか――。
その繰り返しを振り子のように半永久的に続けるつもりであろうか。
俺は考え込みながらチラッとビルのショーウィンドウに目を向ける。
そこには確証のない幻想に弄ばれている男が映っていた。
どうみても間抜けな姿が滑稽で苦笑する。

「……はぁ、ひでー顔」

思わず呟くがその声は人混みと喧騒に消えた。
見上げた空はネオン街に掻き消されて星ひとつ見えなかった。

その後俺は自宅に帰る前に富雪の家に寄る事にした。
俺の家とは町内会が違う程度で徒歩15分くらい離れている。
冷えて赤くなった指先でそっとチャイムを押す。
だがその音は虚しく闇夜に溶けた。
見上げるがどこにも電気はついておらず、見るからに留守のようである。
何度か押しても状況が変わることはなかった。
だがそれも判りきっていることであってどうとも思わない。
実際に富雪の家族がサンタであるということは置いておいて、何か用事がある事は確かな事実であった。
そこは疑う余地もなく明らかである。
ということは家に居ないのも想定内だった。
それを頭では判っていて引き摺るような気持ち悪さが消えてくれない。

「…馬鹿みたいだ」

それこそせっかくのイヴだというのに、こんな住宅街で何をやっているんだ。
静まり返ったそこにはほとんど人通りもなく寂しい道が続いている。
ホワイトクリスマスなんて夢のまた夢であった。
からりと晴れ渡った空は先ほどと違い僅かに星の輝きが見える。
だからといって何かを思う事はなかった。
むしろこんな所で立ち尽くしていたら不審者に間違われるだろう。
(このご時勢ずいぶんと生き難くなったもんだ)
俺は心の中で毒を吐くとコンビニに寄って帰る事にした。

――思い返せばあれはもう一年半も前の話だった。
まだ暑かったからずいぶん昔にも思えるが意外にも二年経っていないのである。
俺はお盆休みに帰省する事無く毎日本を読んでいた。
友人と海外旅行に行こうかという話も持ち上がったが今年は景気が良くなかったし大人しく諦める事にした。
そこで自宅の近くにある河原にてバーベキューをしないかという話になった。
やはり何もしないで長い休みが終わるのは辛い。
ダラダラと過ごした休日の最終日は決まって絶望した。
まるで無駄に休日を終えてしまった気がしたからだ。
そこで俺はバーベキューの下見も兼ねて本を持つと河原に向かった。
あれは夕方頃だろうか。
平日だが同じようにお盆休みや夏休みを満喫している人達が所狭しとバーベーキューをしている。
中には本格的な機材を持ち込んでいるような団体も居た。
たとえ自宅近くといえども普段は河原になんて来ないからこんなにも人がいるとは思わなかった。
内心下見に来て良かったと息を吐く。
そうして俺は人がいない芝生の斜面に腰を落ち着かせると持ってきた本を開いて読み始めた。
――それからどれ位経った頃だろうか。
人の声すら入ってこないほど本に熱中しているといきなり何かに襲われた。

「うわああっ」

突然の襲撃に大の大人が情けない声で叫んでしまった。
横からずしっと重たい何かが俺の体に乗っかってきたのだ。

「す、すみませんっ」

するとすぐに子供の声が聞こえてきた。
それと同時に体に乗っかった何かがぐいっと引っ張られる。
ようやく事態を呑み込めた俺はその物体を退けるように押し返した。

「ん?」

その感触は異様にもふもふしている。

「はぁはぁはぁ」

そして随分呼吸が荒い。

「すみませんっ。こら、ラッキー!」

見上げれば小学生ぐらいの少年が頭を下げていた。
側に座っている大きな犬は飼い主と違い無邪気に尻尾を振っている。
(あんなでかい犬に襲われたのか)
俺は自分が悲鳴のような声を上げた事に恥じらいぶっきら棒に頷いた。
そして何事もなかったように本を読もうとする。

「あれ?」

だが持っていた本が手元になかった。
きっと襲われた拍子に手放してしまったのだろう。
俺は周囲を探すように芝生を漁る。

「あ…あの…」

すると未だにそこにいた少年が遠慮がちに声をかけてきた。
まだ用事があるのかと俺はウンザリしながら彼を見上げる。
と、その手には俺の本があった。
ただしべったりと犬の唾液が付いている。
まさに踏んだり蹴ったりとはこの事を言うのだ。

「すみませんっ。すみません!!」

少年は今にも土下座しかねないほど必死になって謝ってきた。
何度も「弁償します」と言っては頭を下げる。
だから俺はもういいとこの場から立ち去った。
犬を連れた少年が大人に何回も頭を下げているのは変な図である。
周囲の目を気にした俺としてはこのまま何事もなかったかのように立ち去るのが賢明だと思ったからだ。

「あ、すみませんっ…わ、すみませんっ」

すると彼の元から立ち去った俺は次に後ろから少年の声を聞く。
もうずいぶん離れたところで振り返ってみると、そこにはやはり犬にいい様に遊ばれている飼い主がいた。
だってどう考えても彼と犬は同じくらいの大きさである。
力で敵わないのは尤もな話だ。

「ちょっとラッキー、ラッキーってば!」

首輪に付けられた紐などほとんど役目を果たしていない。
むしろ犬が主で少年が従に見えた。
飼い主と犬の立場が完全に逆なのである。
お蔭で紐に引っ張られている少年は半泣き状態で周辺の人達に謝っていた。

「…やれやれ」

迷惑な飼い主だ。
とも思ったが、どうしてもほっとけなかった。
むしろどうやって家からここまで来たのか不思議に思う。
信号だっていくつかあったというのに大丈夫なのか。
俺はそのまま引き返すと少年の元に向かった。
そして引っ張られっぱなしの紐を掴む。

「おい」
「えっ?」

いきなり大人の力が加わった紐はピタリと止まった。
そのせいで好きなように動き回っていた犬も動けなくなる。
少年は驚いて真っ直ぐ俺を見た。

「――その紐、かしてみ」

それが富雪との出会いであった。
人の出会いとは不思議なものである。
当時は俺と頼りない少年がこんな関係になるとは思わなかった。
その日はたまたま彼の母親が熱を出して代わりにラッキーの散歩に出かけたというのだ。
思わず無謀だろと突っ込んだが本人は出来ると思っていたらしくシュンとして一言謝ってきたのを覚えている。
この少年は実に素直であった。
だからこそ俺も情に絆されたのかもしれない。
その後も紆余曲折あって今日に続いているわけであるが、この歳になって人生とは判らないものだと気付かされたのである。

「ん――……」

するとふいに身震いがした。
無性に寒さを感じて意識が呼び戻される。
それと同時にうっすら目を開けるが疲れている為、それが現実なのか夢なのか判っていなかった。
俺はぼやける視界と虚ろな意識に朦朧とさせる。
周囲には空になったビール缶が落ちていた。
どうやら富雪の家から帰った後にビールを飲みながらリビングで寝てしまったようだ。
暖房も付けずワイシャツ姿であった為、途端に寒気に襲われる。

「夢、か…」

ずいぶん懐かしい夢を見ていた。
まだ遠慮がちだった初々しい富雪の表情に思わず顔が綻ぶ。
だが視界は未だにぼやけていて変な感じがした。
だから俺は手でゴシゴシと目元を拭きながら意識を覚醒させる。
それでも眠気と疲れには勝てず項垂れたまま再度眠りにつこうとした時だった。

「か、風邪引いちゃうよ?」

どこからともなくそんな声が聞こえた。
だから俺は無意識のうちに言い返してしまう。

「んぅ、分かって…る…」
「ちゃんとベッドに寝なくちゃ」
「だから分かっ――…って、あれ?」

(俺は誰と話しているんだ?)
ふとそんな疑問が頭を掠める。
今まで普通に会話をしていたがこの部屋には俺しかいない。
その事実に気付くとサーッと血の気が引いた。
一気に目が覚めた俺は勢いよく体を起こす。
するとそこには一人の少年が立っていた。

「富…雪…?」
「こ…んばんは」

目の前の少年は真っ赤な帽子を被り上下も同じ色の服を着ていた。
その姿はまさにサンタクロースの名に相応しい。

「なんでっ…だって…!」

こんな真冬じゃ玄関の鍵はもちろん窓の鍵だって閉まっているはずだ。
何よりここは7階のマンションである。
どうやって入って来たのか。
むしろ本当に富雪なのか。

「雪一さん、来て?」
「え?」
「いいから」

すると富雪は俺の手を引っ張った。
未だに覚醒しきれていない頭にはこの状況が理解不能で俺は為すがままについていく。
彼はベランダに出ると俺を促した。
そうして富雪は指を差す。

「見て」
「あ――……」

俺はその光景に言葉を失っていた。
むしろこれも夢なのかと思って自らの頬を抓っていた。

「オレ、嘘…ついてないよ?」

そこに居たのは凛々しい角を生やした二頭のトナカイだった。
紐で繋がる先には細やかな細工の施されたそりが付けられている。
その後方には大きな袋が置かれていた。
何より驚かせたのはトナカイもそりも宙に浮いていたのだ。
ベランダに寄せられたそりの下には何もない。
遥か下に住宅街が広がっているだけであった。

「ラッキー…か?」
「わんっ」

そりには一匹の真っ白な大型犬が行儀良くお座りしていた。
俺の問いかけにもそうだと言わんばかりに返事をする。
相変わらず舌を出した無邪気な姿は実にこの光景に不釣合いであった。
だから俺は目を擦ってもう一度ラッキーを見る。
しかしどんなに目を擦っても頬を抓ってもトナカイやそりはもちろんラッキーの姿が消えることはなかった。
言葉にならないままチラッと富雪を見れば彼は笑っている。

「そんな…ありえない…」

俺より大きなトナカイやそり、そして何よりサンタの格好をした恋人が信じられなかった。
だが脳内を強引に侵食するような情報は非力な力で抵抗しても敵うはずがない。
何せ現実はこの場所に広がっているのだから。

「まさか本当に…」

動揺して寒さも眠気も疲れも忘れてしまった。
俺は震える手でトナカイに触れる。
それは本当に生きていて毛の質感やちょっとした息遣いがリアルに伝わってきた。

「…っ…」

人は本気で驚いた時に無心になるという。
どんな理論も感情も働かずにただただ目の前の出来事を食い入るように見つめていた。
抓りすぎて赤くなった頬はじんじんと痛み、これが夢でないことを教えてくれる。
側にいた富雪はそんな反応の俺を観察するように見ていた。
しかし俺は彼の視線にも気付かないほど動揺していた。

「信じ…られ…ない…」

自らの常識が音を立てて崩れていく時――。
それは意外にもあっさりしていてあっけなかった。
何度もうわ言のように呟きながらゆっくりと現実を受け入れていく。
いや、内情必死になってこの事実を受け入れようともがいていた。

「オレはまだ子供だから雪一さんの疑問に納得するような答えは言えないと思う」
「…………」
「だから本当はご法度なんだけど見せに来たんだ」
「ふゆ…」
「っていうより、やっぱり会いたかったから…」

隣に佇む少年は少しだけ照れ臭そうに笑っていた。
顔をくしゃっと綻ばせるとそこから一気に現実味が増してくる。
だから俺はそっと彼に触れた。

「本当に…富雪はサンタクロースなのか?」

それはもう何度も自らに問いかけた疑問だった。
肯定しては否定を繰り返して俺自身を苦しめていた楔であった。
これだけの真実を突きつけられても未だに信じられないでいる。

「目に見える物だけがプレゼントじゃないよ」
「え?」

すると返って来た答えは俺の求めていたものと少し違った。
だが富雪は笑顔を崩すことはない。

「みんなの欲しいものは物とは限らないから…」
「あ…」
「なんて、やっぱり上手く説明できないや」

彼もこの状況にもどかしさを感じていた。
それは上手く説明できないと言ったそのままの言葉で困っている。
俺だってもしもそっちの立場であったら上手く説明が出来たであろうか。
常識で通じないもの、理論的にありえないと思われるものを理解させるのは難しい。
かのガリレオでさえ当時の常識を覆すのに物凄く苦労した。
それほどに人の常識に根付いたものは奥深くやっかいである。

「…っぅ…おれっ、やっぱり会えないなんてヤダよっ」

すると次に放った富雪の声は僅かに震えていた。
驚いて見上げると今にも泣きそうな彼と目が合う。
眉毛を下げて泣くまいと気張る顔は余計に彼の心情を映し出していた。

「確かに他の恋人みたいにこれからも24日は一緒に過ごせないけど、でもっ」
「…………」
「オレ頑張るから、一生懸命に頑張るからっ…もちろん、嫌われないようにするから」
「…っ…」
「雪一さんの側に居たいよ」
「富雪」
「だからお願いっ、距離を置くなんて…言わないでよっ」

富雪は我慢できずに泣いていた。
いつもの無邪気な笑顔は遠い空に消えて泣き顔だけが目に焼きついていた。

「ひっぅ、ふ…おれっ、おれ…っ」
「……っぅ」

心を動かされるとはこの事を言うのだと思う。
トナカイやそりを見せられても驚きでしかなかった俺の心に大きな衝撃が走った。
やっぱりサンタなんて有り得ないし、細かい部分で気になるところが沢山あった。
でもそんなものどうでもいいと思える衝動が俺自身を突き動かしていた。
それこそが恋なのだと思う。
また、恋というものも実際には目に見えないという事に気付いて愕然とした。

「ごめん」
「わっ…」

俺はひとりで泣いていた富雪の手を引っ張ると自分の胸に寄せた。
そうして冷たい体を強く抱き締める。
富雪は突然の抱擁に最初こそ驚いていたが、それでも大人しく腕の中にうずくまった。

「疑ってごめん。傷つけてごめん」
「雪一さ…」

「…泣かせて、ごめん」

抱き締めたとき初めて気が付いた。
富雪が何者であろうと関係ないのだ、と。

「富雪は富雪…だよな」
「ん、雪一さんっ…」

そんなの当たり前なのに、すっかり見落としてしまっていた。
一番肝心な部分に気付けず、自分の理論だけを振りかざすのは賢明ではない。
主観でしか判断出来ないのはあまりに未熟な考えである。
世界に絶対などないのだ。
それを言ってしまえば俺が少年に恋をしたこと。
またその恋が実って恋人同士になれた事だって通常ありえないことなのだ。
誰かの常識は誰かの非常識であり逆もまた然りである。

(ようは理屈に凝り固まっていたってことか)
彼は信じるに値する人間である。
だからもっと大きな視野で信じてやればよかった。

「今度こそちゃんと信じるよ」
「雪一さ…」
「富雪のこと信じる」

俺は手先の部分でしか見ていなかったことに反省して更にきつく彼を抱き締める。
富雪の体は少しだけ冷たかった。
この寒い中そりに乗って駆け回っていたのだからそれも仕方がないことであろう。
そうやって彼は子供達に夢を与えていたのだ。

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