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直接「好きだ」と囁かれるより重い言葉で、胸がしびれて感情を揺さぶる。
そうして散々焦らされると、肌は益々刺激に敏感になって、身を捩って互いの体が触れただけで妄りがましい声が出そうになった。
ずっとこんなキスをしていたいのに。
夜が明けるまで優しいキスで愛されていたいのに。
ふしだらな体はさらなる快感を求めて、ねだるように擦り寄ってしまう。
発情したメスのように媚びた仕草で男を誘い、腰をくねらせて汐塚に先を促した。
完璧な執事は主人の要望にいち早く気付くと、口付けをしながらゆっくりと押し倒す。
空いている手で背中を支え、ふかふかなベッドに体が沈むまで力を緩めなかった。
凛太郎はとうにパジャマの上着一枚になっている。
丈の長い寝巻きは太腿まで隠れるくらいで、それが余計にチラリズムを誘っていると知らないようだ。
手触り良いシルクの生地はいかにも高級品で、反した子どもっぽいデザインが余計に凛太郎を幼く見せる。
愛らしい熊の柄はこの暗さでは凝視しないと分からない。
だけど暗闇に浮かび上がった白色は穢しがいのある清らかさだと汐塚は口許を歪めた。
パジャマをたくし上げ、膝を割って凛太郎の足の間に体を滑り込ませる。
そのまま汐塚は勃起した性器を凛太郎のアヌスへと押し込んだ。

「んぅんっ――――!」

唇を奪われていて、声もあげられないまま奥まで犯される。
凛太郎は大きな男の体に押し潰されて足を大股に開き、内部に肉棒を咥えこんだ。
ただでさえキスで腰砕けにされ体中敏感になっているのに、最も過敏な内部を鋭利な亀頭で擦り上げられて、悲鳴を噛み殺す。
自らせがんだのに、異常な快楽は予期していたより上で、挿入されただけで気をやってしまった。

「ひ……ぁ、……ぁっ……」

か細い声を合わせていた唇の隙間から漏らす。
二人分の体重にベッドは軋んだ。
汐塚は動かない。
凛太郎は動けない。

「あ……あた……あたって……っ」

下半身がしびれて感覚がない。
まるで長時間の正座を強いられた時みたいに痺れきって、そこだけ神経が切れたようだ。
凛太郎の柔軟な体は足をM字に開いたままベッドに貼り付いている。
爪先は伸びて強張るように固まっていた。
そこへ汐塚の太く逞しい性器がえぐるようにねじ込まれて、凛太郎の弱点である前立腺を擦る角度のまま止まっている。
動けないから逃げられない。
身を捩ることも腰を引くことも出来ない。
のしかかった大人の体と隙間なく肌と合わさっていた。
(呼吸するたびに……汐塚のちんこが擦れて……っ)
微々たる動きにさえ腸管は感度良く締まる。
まるで焦らすように動かない汐塚の性器に、内壁がぐじゅぐじゅ溶けていくようだ。
熟れきった果実のように形を崩して、彼の性器に纏わりつく。

「ひでー顔」

僅かに体を起こした汐塚は口許に冷笑を浮かべた。
だけど今の凛太郎には罵倒さえ悦びに変わった。
蕩けきったアヘ顔を晒していることは自覚している。
緩みきった表情筋は凛太郎の力ではどうすることも出来ず、口元を垂れる涎を拭うことすら叶わなかった。

「ら、らって……おまえが……」

最も感度の良い場所を擦ったまま止まっている。
ちょっとした動きで周辺をすりすりされて、体中が身動き取れない。
そう文句を言いたいのに、声を出すのもやっとで、上手く言葉を繋げられなかった。

「ここ?」
「ひぁ、ああっ!」
「それともこっち?」
「くはぁ、あぁっ」

汐塚はもてあそぶように腰をこねくり回した。
ぐりぐりと揺すり、無防備な腸壁をいじめる。
あっちこっち突かれて凛太郎は喘ぎっぱなしだ。

「意地悪っ……ひぅ、あっうぅ、っく……ぅっん……!」

久しぶりにアヌスを犯されて、強引に押し広げられている。
僅かな痛みは媚薬のように熱を注ぐ。

「キスをして……っ、腰砕けにしといて……こんな風に抱かれたらたまんないよっ」

感官が狂っていた。
高い天井が霞むくらいに快楽に酔う。
ベッドは皺が寄って波打っていた。
汐塚の抽送は珍しくゆっくりとしている。
性器の味を思い出させるようにスピードは遅く、故に形がはっきり分かった。
カリ高の凶悪な肉棒はどれほどの女を泣かせてきたのだろう。
肛門をえぐり、腸内を掻き乱して征服する。
かと思えば抜けるギリギリまで引き抜くと、入り口付近を執拗に擦り、浅く突いた。
肉のみっちり詰まった腸管は、出て行こうとする男根を引きとめようとしがみ付く。
ぎゅうぎゅうに絞って行かせまいと締め付けた。

「それが俺を拾い、愛されたお前の責任だ」
「ひぅっ……!」

ぐっと奥まで突かれて返事も忘れて喘いでしまった。
縛られている。
凛太郎は汐塚を縛っているような気でいた。
首輪を贈り、指輪を贈り、己の使用人にさせることで、手中に収めているつもりでいた。
でも真実は違う。
汐塚の狂気にも近い愛情を与えられて、その欲に溺れてしまいそうだった。
いつだって余裕綽々の彼は、執事として敬語を使う時は皮肉交じりに凛太郎を苛める。
二人っきりで粗暴な態度の時は、生き生きとした顔で凛太郎をなじる。
そうしていつも翻弄されているのは凛太郎だと思っていたけど、汐塚だって彼に振り回されて余裕なんかなかった。
燃え上がるような――まるで劣情とも思えるほどの浅ましさで、凛太郎を食い物にする。

「はぁ、っ凛太郎……っ、凛太郎」

悩ましげな声で、うなされるように何度も名を呼ぶ。
抱き合った体の僅かな隙間さえ許さないように求めて甘ったるく囁いた。
これは共依存なのかもしれない。
互いに大きく欠けた部分があって、それがたまたま満たされる相手だったのかもしれない。
だけど二人の胸の奥に宿るのは穢れなき恋心で、誰にも遮ることの出来ない強い想いだった。

「あぁ、ああっあっはぁっ……こんな激しくしたらっ、死んじゃ……あぁっ……!」
「くぅっ……はぁっ、そしたら俺も死んでやるよ」

狂気を孕んだ純愛はどこへ行き着く。

「ほんとう?…ひぁ、あっ……ずっと、ずっと……一緒だよ、ねっ……」
「ああ。大人を本気にさせたら怖いってところを教えてやらないと」
「うれしっ……好き、ナギ……っ、ナギ!」

左手は硬く握り合い離さなかった。
ベッドの軋みは、遊んでいたでは片付けられないほど激しくなり、下の階にも響いていることだろう。
だが汗ばんだ肌を重ねて、互いの肉体に酔いしれていた二人には関係なかった。
心地良いまどろみの中で姦淫に耽り、享楽の中で悦びの夢を見る。
凛太郎は無我夢中で汐塚の腰に足を回し絡めた。
ぴったりとくっついて離れない。
焼け付くような肌が擦れるたびに快感が増した。
乱暴に押し入ってくる肉棒の強さにひれ伏しながら、いいように蹂躙されてイきそうだ。
容赦なくガンガンに掘られる。
二人とも自分の欲を押し付けるように腰を振った。

「耳弱ぁ……あぁっ、あっはぁっ……」

耳元でぺちゃくちゃと音がする。
汐塚が凛太郎の耳を舐め回しているからだ。
荒い鼻息と生暖かい舌の感触に悶絶し、身を捩じらせて抱きつく。
耳の刺激が直接下半身に響いて、腹の奥が切なげに締まった。
かぶりを振っても離れず、ぬめった粘膜の感覚だけが思考を支配する。

「あ、あぁあぁっ、イ、イクっ……イっちゃ、ぁぁあっ」

律動が速くなって凛太郎は体を反らした。
ついさっき絶頂に達したのに、再びその波がやってくる。
嚢はもうパンパンだ。
早く精液を出したくて疼いているようにさえ思える。
汐塚もイきそうなのか、額に汗を滲ませて突き狂った。
腹筋が軋む。
腸内で暴れる性器は脈打ち腫れ上がっていた。

「い、いい、っぅ――――!」

凛太郎は歯を食いしばりながら、体を痙攣させた。
波のように襲い掛かる快楽の中で、振り飛ばされそうな衝撃を受ける。
体中の血が意志を持つように沸きだった。
心臓が溶けてなくなりそうになる。
自分がどういう状況かも分からず汐塚に抱きついて達した。
陰茎からは弾け飛ぶように精液が溢れ出して、汐塚の引き締まった腹を汚す。
肛門はイったことで激しく力み、中は排泄時のような締まりになる。

「俺も――――」
「はぁ、あぁっ……!」
「舌出せっ!」

汐塚は射精する直前にアヌスから性器を引き抜くと、彼の眼前でモノを扱いた。
イった余韻に浸っていた凛太郎は言われるがまま口を開き、舌を突き出す。
舌先から垂れた涎が自身の胸元へ落ちた。
目を薄く開ければ目の前に散々人の腸内で暴れまわった男根が迫っている。
凛太郎の包茎ちんこと違い、剥けて赤黒くなった性器は凶器そのものだ。
グロくさえ見える肉棒だが、ずいぶん可愛がってもらったせいか愛着すら湧いて、大人しく口を開け続ける。
すると汐塚は自ら扱いて射精した。
熱い精液が凛太郎の顔や口に飛び散る。

「ふぁ……あぁ……」

幼い顔面にぶっかけて汐塚は悦に浸っていた。
対するに凛太郎も白濁液を浴びて恍惚となっている。
それどころかそのまま陰茎にしゃぶりつくと尿道に残った精液まで啜った。
全て汐塚から教わったことだ。
調教されている。
普段は滅多に言うことを訊かない我侭な少年が、一般人も躊躇うようなことを率先してやってしまう。
まるでストローでシェイクを啜るようにちゅうちゅうと吸い付いた。
顔中精液まみれなのも構わず最後の一滴まで欲しようとする。
お掃除フェラチオは嗜みのひとつだと思っていた。

「はぁ……はぁ……んぅ」

口を離してようやく一息ついた。
汚れた口許を拭うが、相変わらず体は敏感なままで、汐塚がねっとりとした手つきで太腿に触れただけで声が漏れる。

「ひぅ、どうして……中に出してくれなかったんだよ」

恨みがましく見上げると、汐塚は涼しい顔をしていた。
股を開いたままの凛太郎は自分の体を見下ろし、精液まみれのちんこを見つめる。
イったばかりなのに元気だった。
それはそうだ。
その奥――。
尻の穴が痒いくらいに疼き引きつっている。
せっかく中で射精してくれると思っていたのに、何もないまま終わって物欲しげにヒクついていたのだ。
あれだけ好き勝手に掘っておきながら最後は抜いてしまうなんて憎らしいやつだ。
奥が痒い。
掻き毟りたいくらい痒い。
ぼじくられたい。
指で構わないから、弛んだ尻にぶっさして、気の済むまでほじほじして欲しかった。
想像するだけで火照りが酷くなる。
(ちんこ欲しいのに)
指では届かない奥で、地味な辛さが全身を覆う。
まるで羽虫が熟れた内壁で這い回っているようだ。
絶頂に達して満足のはずが、内股を擦り合わせてモジモジする。
物欲しそうに体をくねらせた。
今ならこの疼きを静めるためなら悦んで強姦でもされるだろう。
頭の中はちんこのことでいっぱいだった。

「……お、お前は本当に悪趣味な男だっ……」

汐塚は他人事のようにその様子を観察していた。
薄情にも冷えた目で見下ろしている。
彼だって今まで抜いておらず性欲は溜まっている。
故に、もう性器は半勃ちしている。
だけど膝立ちのまま、凛太郎の目の前でじっとしていた。
まるで見せ付けるように硬くなっていく性器を晒している。
そのせいで益々我慢が出来なくなると分かっていて、どうするのか物見しているのだ。

「も……いっかいしてっ……ひぅっ、ぼくのお尻に挿れてよっ」
「お尻?」
「……っぅ……」

凛太郎は耳まで赤くすると、ベッドに四つんばいになり、双丘の尻を自ら掴み割ると、その間に隠されていたアヌスを晒した。

「お、オスまんこに挿れてくださいっ!」

これではどっちが主人か分からない。
誘うように腰をふりふりさせながら、皺の寄った尻の穴を見せた。
なりふり構っていられなかった。

「ふぇ、っお尻まんこ欲しっ……まんこっ、まんこ!」

下品な言葉遣いだって汐塚に教えられた。
逆らえないまま女郎のように、男を誘い媚を売る。

「いいね。凛太郎のような金持ちのボンボンが、品のない言葉で貪欲に求めているなんて」
「くぅ、んっ」
「そそる」

汐塚は失笑にも近い唇を歪ませて、凛太郎の細い腰を掴んだ。
そのまま反り返っていた性器を無遠慮に差し込む。

「ああぁああぁあ――!」

疼きっぱなしの場所を突き上げられて歓喜の声をあげた。
ふとましいモノでほじくられる。
硬くて熱くて大好きな男の性器で淫らな穴に蓋をされた。
気遣いらしい気遣いもなく、ひたすら突っ込まれてしまった。
凛太郎は悲鳴にも近い声をあげながら貪られる。
もし他の誰かが聞いたら一大事になりそうだ。
下がリビングで良かったと心底安堵する。
こんな激しく肛姦していたら、嫌でも下の階にいる人間は気付くだろう。
抱かれている。
ひとり息子が誰かに力づくで犯されて、天井が落ちてこんばかりにベッドを軋ませてセックスをしている。
いやらしい声を惜しげもせず放ち、その腕の中で女のような顔を見せ蕩けきっている。
由々しき事態だ。
しかしもう遅い。
二人の仲はとうに出来上がったもので、今さら何人たりとも引き離すことは出来ないのだ。

「おすまんこっ、気持ちい…っ……はぁ、ぅっんぅ……んっんぅ!」

凛太郎はお気に入りの枕に抱きついたまま後ろから犯された。
激しく突き上げられて顔を埋める。
恋人のキスをしてくれた時と違って、欲に濡れたセックスは微塵の優しさも感じなかった。
小さな体は屈服するしかない。
愛されて守られるのではなく、ただただ服従するのみである。
抵抗など無に等しい。
そうやって酷い目に合えば合うほど凛太郎は興奮して、自らのちんこから半透明の汁を垂れ流すのだ。

「はぁ、あぁっ僕のちんこ……っ、バカになっちゃった!」
「とっくに馬鹿だろうよ」
「止まらなっ!ふぇ、えっ……買ったばかりの布団だったのにっ」

汐塚が突くたびに凛太郎のちんこはぷるんぷるんと揺れた。
そうしてエッチな汁を布団中に撒き散らせている。
泣き言を言うが、やめてとは言わなかった。
シミになる布団を見下ろしながら、アヌスを締めて姦淫に耽っている。
わざと汐塚は深く突いた。
望んで抱かれたくせに、後先考えない欲に忠実な凛太郎が愛しかったからだ。
腰に力を入れると、根元まで一気に挿入する。
そのたびに弓なりになる凛太郎は、子どもとは思えないほど妖艶な体つきをしていた。

「やぁああぁあっ」

凛太郎の上半身に触手のような汐塚の手が這い上がる。
彼は背中に覆い被さるように引っ付くと、凛太郎の乳首に手を這わした。

「あ、あぁっはぁっんぅ……んぅ、ふっ……やだぁっ、あっ」

まな板のように平らな胸を強引に揉みしだく。
黒ずんでいない乳首はさくらんぼうのように可憐で、魅惑の果実だ。

「くひぃっ…いんっ……痛っ、乳首……引っ張りすぎだっ……!」

凛太郎は振り返って牽制しようとしたが、

「んぅ――っんんっ!」

汐塚に唇を奪われて、甘んじてキスに応じる。
その間も意地悪く引っ張り、乳首が取れてしまいそうなほど伸ばした。
弄くっても面白くない胸を執拗に撫で回して快楽を叩き込む。
始めは痛いだけだった乳首も、乱暴にされながらちんこを勃てるまでに進化した。
(伸びちゃうだろうが!)
エッチのたびに引っ張られすぎて、乳首の形が変形しつつあった。
彼の年ならば、まだ人の前で裸になる機会はたくさんある。
学校では着替えやプールの授業だってあるのだ。
肥大した乳首は敏感で、人前に晒されただけで硬くなる。

「ちゅっ、んんぅっ、ふぅ……!」

だけどされるがままだ。
尻の穴も乳首も咥内も性感帯はすべて汐塚によって征服されている。
三ヶ所同時に責められて気がおかしくなりそうだ。
アヌスはゴリゴリと突っ込まれているし、舌は吸い付かれて声も出ない。
勃起した乳首は汐塚の大きな親指と人差し指に転がされては潰された。
乳首を弄られると糸を引くような痛みと切なさが、体中に広がる。
ちんこに触れずともイったことがあるほどに開発されて、踊らされるがままに喘いだ。
鷲掴みにされた胸を女のように揉まれて感じている。
薄い体は脂肪もあまりなくて、指が沈む程度だというのに、汐塚はしつこく胸に手を這わした。
くすぶる痛みに腰が勝手に揺れる。
(ちんこきもちいい)
尻があたってパンパンと音がした。
肉同士がぶつかる生々しい音だ。
反り返った汐塚の性器がえぐる。
バックからだと擦れる場所も違い、新たな刺激に夢中になった。
上半身は突っ伏したが、尻だけは高くあげて犯しやすいよう配慮する。
尻を突き出した格好は品の欠片もなかったが構わなかった。
奥まで挿れてくれればどうでも良かった。
淫奔な思考に支配されている。

 

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