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「優弥、朝ごはんはー?」
「あとで食べる」
「まったくしょうがない子ね~」

そう言いながら鼻歌を暢気に歌っている母さんの声が階段にまで聞こえた。
そんな彼女を尻目にゆっくりと階段を登っていく。
人間とは不思議なもので、いざ自分に熱があると分かると途端に体がだるくて重くなった。
(やっぱりこんな状態で学校に行かなくて良かった)
オレは部屋に着くなりベッドに横になってふと思う。
只でさえ体に余裕が無いのにまた昨日のような気まずさを味わうのは苦痛だ。
先生に謝りたかったのは事実だが彼と顔を合わせない事に心のどこかでホッとしている自分がいる。

「ふぅ…」

今は余計な事を考えずにとにかく眠りたかった。
まどろむ様な意識の中で徐々に視界がぼやけてくる。
いつもより高い体温は苦しくもどこか夢見心地に浸らせてくれた。
だからオレはゆっくりと目を閉じて夢の世界へと落ちていく。
意識が途切れる瞬間に目蓋の裏に映っていたのは切なそうに笑う先生の顔だった。

―――次に目を覚ましたのは自らの空腹感に耐え切れないお腹の音だった。

ぎゅるるるる

眠っていても胃腸は活発に活動しているらしく、しきりにお腹が鳴っている。
オレはうっすら目を開けると枕もとの時計へと視線をずらした。

「んぅ、もう三時か…」

ほんの1、2時間眠っている程度だと思っていたらとっくに昼過ぎていた。
朝ごはんも薬も飲んでないのにこんな時間になっている。
慌てて起き上がったオレは勉強机の上に置かれたご飯と薬の箱に気付いた。
他にはしっかりと冷えピタが額に貼られている。
きっとあの後パートに行ってしまう母さんが、オレが起きた時にすぐご飯を食べられるように用意してくれたのだ。
お皿には大きなおにぎりが二つ乗せられて、そばに水筒が置いてある。
風邪を引いたときはいつも梅おにぎりと生姜湯を飲むのだ。
なんだかんだ言いながら結局母親の世話になっているのだから笑える。
オレは寝すぎて縮まっていた体を伸ばすように手を広げて深呼吸をした。
朝よりはずっと体調が良い。
これならご飯を食べて薬を飲んで暖かくしていればすぐに元気になるだろう。
オレは起き上がると早速母親お手製のおにぎりに手を伸ばした。

「…ごちそうさまでした」

その後、ペロリとおにぎり二つを平らげたオレは開いたお皿をキッチンに持っていった。
一階は誰も居ないせいかしんと静まり返っている。
まだ三時。
母親がパートから帰ってくるまで一時間ほどある。
うるさく言う人が居ないというのはそれだけで晴れやかだった。
体調も悪くないせいか気分が良い。
オレは適当にお菓子を持って自分の部屋へと戻った。
学校を休むというは特別心躍るものである。

プルルルル―…。

すると突然家の電話が鳴り響いた。
部屋に戻ってプリンを開けようとした瞬間、ピタリと体の動きが止まる。

「ったく、なんだよー」

せっかくのお楽しみを邪魔されて口を尖らせた。
だからといって鳴り続ける電話を無視する事は出来ない。
もしかしたら仕事中の母さんから電話かもしれないのだ。
オレの様子を伺うために電話してくる可能性はある。
オレは一口も手をつけずに立ち上がると一階へと降りた。
そして未だに鳴りっ放しな電話機のところへ行く。

「……はい、小金井ですけど」

間に合ったオレは面倒くさそうに電話に出た。
これで勧誘か何かだったらついてない。

「もしもし小金井か?」
「は?」
「下沼田小学校の神尾ですけど」
「――はぁっ!?」

電話の向こうから聞こえてきたのは先生の声だった。
だから思わず大きな声を出してしまう。

「ちょっ、小金井声が大きすぎるぞ」
「え、だっ…だって!」

まさか先生から電話がかかって来るとは思わず何も心の準備をしていなかった。
電話を握る手が震える。

「どうだ?朝、熱が出たって連絡を貰ったんだけど今の調子は?」
「え…あ、別に」
「別に?」
「大丈夫…です」
「そうか良かった」

窺うように問う先生は心なしかいつもより優しく聞こえた。
だから胸がきゅんとして照れくさくなる。

「そういえば石本がお前を心配していたぞ?」
「あ、まじっすか」
「ああ。昨日もあんな事があったしね」
「あ、あ、そうですね」

普段は敬語なんて使わないくせについ畏まってしまった。
何せ今の自分はフローリングの上でちゃんと正座をしている。
その姿が端から見たら滑稽で自分でも可笑しかった。

だけど聞こえる先生は昨日の事など無かったように優しく話しかけてくれる。
声しか聞こえないというのはその分それに集中できるから新鮮だった。
お蔭でほんの僅かな声の変化に気付いてしまう。

「ぷっ」

すると先生は電話越しに吹き出した。
何事かと動揺するオレはオロオロしながら彼の笑い声を聞く。

「ははっ。悪い」
「な、ななっ…」
「電話での小金井はいつもより素直で大人しいんだな」
「なっ――!」

先生の言葉に瞬間ボボッと顔が熱くなった。
絶句したオレは尚更電話を持つ手が震えてしまう。

「お前の敬語も久しぶりに聞いたよ。なんか変な感じだな」
「っっ」

そこでオレの恥ずかしさはMAXに達した。
まるで湯気でも出てしまいそうなほど顔を赤く染めたオレの頭は真っ白になる。

「――――話はそれだけ?」
「え?」

向こうもオレの声色が変化した事に気付いた。
その声は僅かな戸惑いを滲ませている。

「こっちは具合悪くて休んでるんだよっ!!」
「え?でも小金井さっき…」
「うるせー!ばーか!ばーか!ガリ勉メガネ!!電話する暇があったら仕事しろっ!ばーーか!!」

ガチャン――!!

オレはそれだけ言い捨てると勝手に電話を切ってしまった。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

切った後に自分の言った言葉にガックリと項垂れる。
ずいぶん幼稚な事を口走ってしまった気がしなくも無い。

「はぁ~…バカはオレだっての」

なんていう捨て台詞だ。
未だ熱い顔の火照りを冷ますように両頬を手で包み込んだ。
恥ずかしくて情けない。
だからオレはその場から駆け足で自分の部屋に戻った。
いつまでもそこにいるとさっきの事を思い出してしまいそうだからだ。

「はー」
ぽすっ!

テーブルの上に置いてあったプリンに見向きもせずにベッドへダイブする。
枕をぎゅっと抱き締めた。
今はもうプリンなんてどうでもよかったのだ。
耳の奥には先生の声が余韻として残っている。
窺うような優しい声や楽しそうに笑う声が胸を締め付けてきゅんとさせるのだ。
ドキドキ煩くなった胸に手を置いて鼓動を感じる。
その心地に浸るように目を閉じた。

「どーしよう。オレ」

徐々に早まっていく心臓の音が全身に木霊する。
まるで体全体が心臓になってしまったみたいだ。
本当ならあの電話で謝れば良かったのに。
あれじゃ傷口に塩を塗るようなものだ。
余計に関係を悪化させてしまった気がしなくもない。
間抜けすぎて泣きたくなったが、今はそれ以上に嬉しかった。
まさか今日も先生の声を聞けるとは思っていなかったからだ。
嬉しいサプライズに高鳴る鼓動を抑えられない。

「へへ」

ついだらしなく口元が緩んでしまった。
抱き締めていた枕に力を込める。
薬のせいか気分も高揚して気持ちよかった。
だから暫くの間、一連の会話を思い出してはニヤけるという行為を繰り返していた。

「ん…」

すると知らず知らずのうちに自分の右手が下にまで降りていった。
そっとズボンの中に手を突っ込む。
僅かに熱を持ち始めたソレは触れるだけで気持ちよかった。
熱のせいか汗ばんだ体にピリリと刺激が加わる。

「はぅ、んんっ…せんせ…」

こんなことダメだって分かっていて自らのペニスを扱く。
目を閉じれば先ほどまで耳元にあった好きな人の余韻が胸を擽った。
暗闇の中で先生の残像を映し出し、身を委ねる。
少し扱けばすぐにソレは大きくなった。

「ん、ふぅ…ふぅ…」

モゾモゾと布団の中で怪しく動く。
どうしたって漏れてしまう吐息はオレ自身を煽る結果となった。
もしこれが先生の手だったらどれほど気持ちいいのだろう。
それを想像するだけで体は火照ってたまらない。
勝手に扱くスピードが速くなった。
ズボンとパンツを膝下まで下げて布団の中で上下に扱く。
ティッシュは枕元に用意済みだ。

「あ、せん…ふぁっ…んんぅっ」

今度は性器を扱くだけで物足りなくなった。
オレは自分の指を口に含んで濡らすと躊躇いも無くお尻に挿入する。
最初はゆっくりと一本ずつ。

「はぁ、はぁ」

涎で濡れていた事も相まってヌルッと奥まで入った。
その違和感は苦しいものの中毒性があって病みつきになる。
ネットで調べた時はケツの穴に入れるなんて信じられなかった。
汚いと思っていたし、気持ちよくなんてないと思っていた。
だが実際にハマっている自分がいる。
今じゃ扱くだけでは満足できないのだからどうしたものか。
内壁を自分の指で擦るたび下半身が震えた。
根元まで突っ込んでグリグリとかき回すのである。
そうしてよがり狂う自分は変態にしか見えない。
だが普段強気で先生に悪態ばかりついているせいか、自分を卑下すると無性に気持ちよく感じた。
己の嗜虐性に火をつける。
先生の存在を汚す事に詫びながら、いっそのことオレを苛めてくれないかと妄想してしまうのだ。
きっと普段のオレからは想像出来ないだろう。
今こうして先生をおかずにしている事も彼自身は知らないのだ。
それは罪悪感と背徳心の鬩ぎ合い。

「はぁ、せんっ…せんせ…!」

オレは妄想に浸りながら激しく自分の指を抜き差し続けた。
先生にお尻を弄られて乱れる自身を想像するとたまらない。
昨日の抱き締められた感触は尚オレに生々しい妄想を与えてくれた。
先生から薫ってきたのは心地良い洗剤の匂い。
大人独特の骨太な腕と掌。
暴れていたはずなのに押さえ付けられた時はどうしようかと思った。
メガネの奥のツリ目がどうしようもなくドキドキさせる。
あんなに暴言を吐くオレがこんなにも乙女思考で女々しいなんて誰が知るのだろうか。
そのギャップに羞恥心を募らせて卑しい気持ちに浸っていた。

「ん、んぅ…ふぁっ…」

するといよいよラストスパートをかけようとした時だ。
突然ガチャガチャと家の鍵を開ける音がしたのだ。

「……んく…」

思わず体が硬直してしまう。
チラッと見た時計はまだ一時間経っていない。
母さんが帰ってくるまではまだ時間があるはずだった。

ガチャ――…!

「ただいまー」

だがオレの予想はあっさりと切り捨てられた。
母親の元気な声が布団を被っていても聞こえる。
慌ててズボンとパンツを履き直すと急いで部屋の窓を開けた。
部屋中に消臭スプレーを吹き付ける。

パタパタ――。

案の定、母さんが階段を登る音が聞こえた。
オレは身を潜めて伺うように待つ。
手にはちゃんと教科書を持っていた。
読んでいたフリはバッチリである。

「優弥ただいま」

ノックも無しにドアが開いた。
同時に母親の明るい声が部屋に響く。

「あら?部屋の中暑かったの?窓こんなに開けて」
「え、あ…うん。汗かいたから」
「それなら良かったじゃない。じゃあパジャマも濡れているわね。後で代えのパジャマ持ってくるから」
「ん、ありがと」

なにやらご機嫌な彼女は一切オレの様子に気付かなかった。
帰宅後にこんなにも上機嫌な母さんも珍しい。

「ふふ」
「ん?」

彼女はこちらを見て何やら含み笑いをしている。
その意味が分からずに眉を顰めると、母さんは廊下に向かって手招きした。

「じゃじゃーん」
「え?え?」

つられる様に部屋に入ってきたのは先生だった。
ペコッとお辞儀をすると彼はいつもと変わらずスーツ姿である。

「こんにちは小金井」

挨拶をする先生は困った顔でオレを見ていた。
隣に居た母親がそれには気付かず彼の背中をバシバシと叩く。

「ふふ。さっき偶然会ったのよ!良かったわね。先生、あなたが心配でわざわざ来て下さったのよ?」
「え!?…えぇっー!!」

なんだそりゃ!
思わず出てしまった叫び声に母さんはオーバーリアクションを露にした。
両耳を手で押さえて酷い顔をしている。

「ホントに騒がしい子ですみませんね」
「いえ、これぐらい元気があった方が安心しますから」
「あらそうですかー?さすが先生。心の広さも違うわ~」
「母さんってば!」

それが社交辞令だってことぐらいオレだって分かるのに母さんは真に受けて笑っていた。
恥ずかしくて口を尖らせる。
うるさい生徒にうるさいと保護者の前で言える先生なんて絶滅危惧種に近い。
だからオブラートに包んで元気と表現してくれているのに真に受けてどうするのだ。
どこまでも能天気な母親にどっと疲れが押し寄せる。

「いいからお茶持ってきてよ」
「ああそうよね。すみません先生」
「いえ、すぐに帰りますのでお構いなく」
「いいから!」

遠慮する先生にオレは言葉を被せるように強めに言った。
すると母さんは「はいはい」と頷いてさっさと部屋を出て行く。
その後姿に呆れながら、この可笑しな状況をどうしようかと考えていた。

「いやー、しかし小金井のお母さんは面白い人だな」

二人っきりになった部屋で先生は苦笑しながら呟いた。
オレは恥ずかしくて下を向く。
何か余計な事でもしゃべったのだろうか。
それが嫌でも想像できてげんなりする。

「っていうか何で来たんだよ」
「あ、ああ」

あんな捨て台詞を吐かれて、その一時間後には張本人に会いに来るなんて変だ。
普通ならもう少し様子を伺うだろうに。
オレなんかに言われても何も感じないのだろうか?
相手にされていないというのは、ちょっと辛い。

「お前なー、あんな事言われたら普通心配するだろうが」
「はぁ?」
「どうなんだ?本当のところ、調子が悪いのか?」
「なっ…!」

先生はオレのベッドの脇に腰を下ろした。
だからドギマギして目を泳がせる。

「し、仕事しろよ…ばーか」

なんとか苦し紛れに出たのはやはり可愛くない言葉だった。
ここまで来ると呆れを通り越して清々しい。

「ああ、これからまた学校に戻るから」
「え…?」
「やっぱり小金井が心配だったから。少しでも顔が見れれば安心すると思って来たんだ」
「っ」
「良かった。顔が見れて」

オレは先生の言葉に目を見開いた。
同時に顔が熱くなるのを感じて即座に反対側を向く。
そして布団を被った。

「小金井?」

それはオレにとって上等な殺し文句だった。
きっとこの人にとっては何気ない言葉に過ぎない。
だが好きな人に気遣われて、何も感じない人なんていない。
むしろそんな心配をしてくれるなんて思わなかった。
クラスには大勢の生徒がいる。
その中の誰かが休んでもいちいち心配なんてしていられないだろう。
何よりオレはあれだけ先生に突っかかっているのだ。
むしろうるさい生徒が居なくて楽だぐらいに思われていると思っていた。

「じじ、じゃあ、もう用は済んだだろ」
「え?」
「はっ…早く学校に戻って仕事しろよっ!」

オレは恥ずかしさを隠すように縮こまって言い切った。
体中が照れくささでムズムズする。
来てくれて嬉しいなんて素直に言えたらどんなに楽だろう。
去年のオレなら何の躊躇いもなく言えた筈なのに今は地球が滅ぶより難しい気がした。

「……そっか」
「え?」
「うん、そうだよな。休んでるとこ悪かった」

すると背後で先生が立ち上がった気配がした。
そのまま彼は手にジャケットを持って部屋を出て行こうとする。

「あっ…!」

オレは振り返って先生を見上げた。
こちらに背を向ける先生はドアノブに手を掛けて出て行く。
こんなにもあっさり出て行くとは思わず、起き上がった。
ドアの方を見つめる。
静けさを取り戻した部屋の中はガランとしていて寂しかった。
自分で言っといて後悔の念にかられる。
矛盾している。
(なんで馬鹿なんだオレは)
いい加減にしろと己を責めるがもうどうしようもなかった。
部屋を出て行った先生に涙が溢れる。
あそこで引き止めておけばもう少し話が出来たかもしれない。
昨日の事と今日の暴言を詫びるチャンスがあったかもしれない。
時間は戻れないのにいつも「~かもしれない」等と仮定する自分が嫌いだった。
それなら次からは学習して素直になれよと言ってしまいたくなる。
そんな自分に嫌気がするんだ。

「…っぅ…」

オレは必死に涙を堪えた。
これでさらに泣いてしまえばそれはガキ以外の何者でもない。
遠ざけたのはオレ。
拒絶をしたのはオレ。
その結果がこれなのだから間違いはない。
だから必死に唇を噛み締めて耐えた。
ギリギリと奥歯が痛くて寂しさが募る。

「馬鹿だ、オレ…」
「――――ホントにね」
「!?」

すると呟いた言葉に返事が返って来た。
驚いて見上げると、僅かに開いたドアから先生がこちらを見ている。

「な、な――!」

すっかり帰ったものだとばかり思っていたオレは驚いて絶句した。
見開いた目からは一粒の涙が零れ落ちる。

「先生は心配だぞ。小金井の将来が」
「え?あ、え?」
「まったく」
「わわっ…!?」

ズカズカ入って来た先生は、オレの前まで来ると膝を付いた。
ベッドに入ったままのオレを強引に抱き寄せる。

「せ、せっ…!」
「ちゃんと素直にならなくちゃ、もし先生じゃなかったらきっとあのまま帰ってたぞ」
「せ、せんせ」

大きな腕が背中に回っていた。
オレは泣きそうになっていたのも忘れて動揺する。

「お前ってヤツは……」

その言葉には僅かな愛しさが含まれていた。
呼吸をする度に昨日と同じ洗剤の匂いが鼻につく。
上半身の逞しさと腕の強さがオレを捕らえる様に抱きしめた。
ワイシャツのパリッとした生地が肌に気持ちいい。

「ん…ぅ…」

先生はオレの体の感触を確かめるように、一度強く抱き締めるとその腕を解いた。
太い指でオレの目尻を優しく拭う。

「小金井ぐらいだぞ」
「え」
「先生をガリ勉メガネなんて呼ぶのは」
「え…あ…」

今度は包み込むような優しい抱擁をされた。
同じように抱き締められているのに全然違う。
さっきから起こっている出来事に対処できないオレは、いつもの悪態すらつけずに目を丸くするだけだった。
なんとか発する言葉を理解しようとしている。

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