4

「はぁはぁ、さすがに昔ほど体力はないな」
「………」
「元々先生は体育会系じゃないし」

苦笑する先生はいつも通りだった。
ここで一発「年寄り!」なんて言えたら、オレの気持ちも楽になるかもしれない
しかし今は複雑な感情に飲み込まれて、気持ちの整理も出来ていなかった。
先生の話を一方的に聞く。

「小金井はさ、今自分がどんな顔をしているのか気付いてる?」
「え」

オレの傍までやってきた先生はぐぃっと顎を掴んだ。
無理やり上を向かされて目を見開く。
だが先生はそんなオレの態度に目もくれず、躊躇う事無く顔を近づけた。
そっと唇を重ねる。

「ん…!?」

その感触に体が固まった。
まさかそれがキスだとは認識できない脳の中枢は混乱で一杯である。

「ふ…」

触れるだけのキスはすぐに離れていった。
オレは後からやってきたパニックに、思わずイスから立ち上がる。

ガンっ―!!!
「痛っぅ…!」

勢い良く立ち上がろうとしたら机に足をぶつけた。
予期せぬ痛みに顔を顰めると再度イスに座ってしまう。
「ぷっ…」

見ていた先生は吹き出した。
笑うのを抑えるように口に手を当ててこちらを見ている。

「なっ…なんだよっ!」

さっきのキスは夢なのか。
それとも只からかわれただけなのか。
オレはそんな彼に恥ずかしさと混乱の意味も込めて声を荒げた。
口を尖らせる。

「いや、うん」

再度先生は身を屈めた。
顔を近づけてくる。
その自然な素振りにどうしていいのか分からなくてきゅうっと目を閉じた。
内心は未だに続く混乱と照れが入り混じって酷い事になっている。

「んく…」

今度は唇ではなくて額に軽くキスをされた。
そこは熱く印刻されたみたいに尾を引く。
だが今度はそれだけでは終わらなかった。
先生はその大きな手のひらでオレの頬を包み込む。

「やっぱり、可愛いなと思って」
「なっ…!」

何をまたふざけた事を言うのか。
人のことを勝手に可愛いなどよく言えたものだ。
言われ慣れていないこっちはどう反応していいのか分からない。

「ばば、ばっかじゃねーの!先生目悪すぎ」
「ああそうだな。先生は目が悪いから眼鏡をかけているんだし」
「なっ…ならそういう事ポンポン言うな!!ガリ勉メガネ!!」

やっとまともに会話が成立したと思えば、低レベルな言い合いしか出来なかった。
しかしキスをされたという事実を理解していない頭は真っ白で、何を話していいのか分からない。
むしろこれだけ悪態をつけただけでも拍手ものである。

「あれ?おかしいな。先生はそんなポンポン言ってないぞ」
「くぅ…」
「少なくとも小金井以外には言ってないし」
「!!」

(だからそういう台詞が理解出来ないんだって)
オレは喉の奥から上がってくる言葉をぐっと飲み込んだ。
普段の先生を見ている分、真顔で言われたら困る。
だってこんなの先生のキャラじゃない。
キッチリとしたスーツに堅い印象が残る銀フレームの眼鏡。
あの口から甘ったるい台詞が出てくるなんて考えられなかった。
もし隣に石本が居たら彼もきっと固まって身動き取れなくなっているだろう。

「うん。だからその顔」
「っぅ」

そんなオレの心情など知る由もない先生は優しく頬を撫でた。
隙あればまたキスでもしそうな甘ったるい雰囲気だ。

「っ……」

こんな雰囲気知らない。
先生はもしかしてオレの事が好きなのだろうか?
――いや、まてよ。
早とちりして恥をかいたら今度こそ本当に死にたくなる。
(だからオレ、落ち着け。落ち着いてくれ)
何度も自分に言い聞かせた。
先生に触れた手のせいで、半分くらいはどこかに飛んでいったが何とか自分を取り持った。

「い、意味わかんねー」
「本当に?」
「っ」
「なら何でそんなに顔を赤くするんだ?」
「それはっ」

好きな人とこんなに間近で触れ合っていればそうなる。
だが口が裂けても言えなかった。
言い途中で声に出すのをやめる。
そんなオレに気付いたのか彼はフッと軽く微笑んだ。

「小金井が先生を慕ってくれるのは教師として純粋に嬉しかった。だからその分、急に態度が変わって悲しかった。先生の事嫌いになったんだって思っていた」
「………」
「でもさ…」

先生は座っているオレを後ろからイスごと抱き締めた。
只でさえ速過ぎて追いつかない心臓の音が、更に速さを増す。

「気付いたんだ」
「え?」
「小金井さ、先生に酷い事を言った後とか、無視をした後に凄く泣きそうな顔をするんだよ」
「!?」
「他には顔が真っ赤になったり恥ずかしそうに俯いたり。ひとつそこに気付くと色々な面の小金井が見えてきたんだ」

それは自覚のない発言だった。
オレは驚いて先生の方に振り返ってしまう。
そんなオレにもう一度彼は額に唇を落とした。

「んっ」
「それを見る度に抱き締めたくなった。こうして触れたくなった」
「せ…」
「それがどういう意味だか分かるか?」

問う先生は授業中とは全然違った。
オレはいっぱいいっぱいのまま固まってしまう。
それは予想外の展開だった。

「なぁ、小金井」

先生はオレの言葉を待たずに甘ったるく耳元で囁いた。
耳たぶを甘噛みする。

「んぅ…!」

その刺激はズクンと腰に響いた。
思わず変な声が出てしまう。

「…あ…!?」

同時にお尻に入りっぱなしだったマッキーの存在を思い出した。
思わぬところで引き戻された現実に顔を青くする。
だがオレの性器はもう取り返しのつかない状態にまでなっていた。
与えられる刺激に従順な反応を示し、ズボンの中で痛いぐらいに勃起している。
幸い座っていた為、先生に気付かれた様子はなかった。
だがバレるのも時間の問題である。

「だだだっダメーー!!!!」

オレは力の限り叫ぶと彼の体を押し返した。
この状況から逃げようと慌てて立ち上がる。

「あのっ…オレっ…」

そのままドアの方へと行こうとしたが先生はそれを許さなかった。
オレの体をもう一度後ろから抱き締める。

「待ちなさい!」

だが今回は先程と違って力強かった。
まるで奪い取るような荒々しい仕草でオレを抱き締める。
座っている時より体が密着したせいか心臓は跳ね上がった。
呼吸をするのも精一杯みたいに胸の音がうるさい。

「もう我慢の限界」
「や…せんせ…」
「…先生は――…いや、俺は小金井が好きだ」
「っ!」

先生は小さく囁いた。
彼から俺と聞いたのも初めてだが、それ以上の衝撃に思考はぶっとんだ。

「…す…き?」
「ああそうだ。俺はお前が好きだ」

躊躇いもなく囁かれた想いにこれが現実かも分からなくなった。
こんな都合の良い事が起こるわけがないとたしなめつつ先生の言葉を反芻する。

「理解できないのなら、何度でも言ってやる」
「ん、せんせ…」
「俺は小金井が好きなんだって」
「……っぅ…」

先生は耳元で何度も好きだと呟いてくれた。
甘く蕩けそうな声色は、やっぱり本人のキャラクターには合わなくて戸惑う。
(だってこんな先生知らない!)
でも余計に胸がきゅんきゅんして堪らなかった。
オレだけが知る彼の一面を見せられている気分だ。
それだけで胸がいっぱいなのに、両想いだったと知ったらどうしたらいいのだろう。
今なら空をも飛べそうな程舞い上がってしまった。

「…んく」

オレは先生の腕に触れてそっと目を閉じる。
抱き締められてすっぽりと納まる彼の胸の中で、身を縮めうっとりしていた。
ちょうどお尻の部分に先生のズボンが擦れて当たる。
その度に腸内はマッキーを締め付けてオレに刺激を与え続けた。
その感触は歯痒くも気持ちよくてたまらない。
先生を意識しては体の火照りを抑えられなかった。
先ほどの一人でしていた時とは大違いである。
前に回された腕は絶対に放さないとでも言いたげな圧力があった。
それに対して嬉しさと愛しさに体が溶けてしまいそうになる。

「やっ…はぁ、っ…くぅ…ぅん!」

だから先に体が限界を迎えてしまった。
ビクビクと体は痙攣してオレは甘い声を出してしまう。
誰にも触れられずに射精してしまった性器は居心地悪そうに縮んだ。
濡れたパンツの気持ち悪さが生々しくて嫌になる。

「小金…井?」

先生はオレを抱き締めたまま顔を覗き込んできた。
イったばかりの恍惚とした表情を見られて消えたくなる。
彼はまさかと言いたげな顔をしていた。

「ふっぅ…全部、先生のせいだっ!」

こうなればヤケクソだった。
今日の今日まで自分の胸の中に仕舞い込んで来た想いを吐露する。

「オレがこんなにも口が悪くなったのも、意地悪になっちゃったのもっ」
「小金井?」
「知られたくなかったのに!…こんな…こんな…っぅ…」

ずっと我慢をしていたんだ。
ずっと溜め込んでいたんだ。
それは今までの自分が築き上げてきた小金井という人間を失望されたくなかったからだ。
恋をすることは素敵な事だと思っていた。
映画やドラマで見る恋愛は美しくて多くの幸せに満ち溢れていた。
だが現実を見た時、その恋愛とは全く違う位置にいる自分に気がついた。
ロミオとジュリエットもびっくりな許されぬ恋だと知った。
その時初めて思った。
恋に落ちなければきっとこんなにも苦しまなくて済んだのに、と。

「オレはっ…先生の知ってる小金井じゃない。本当はもっと汚くて最低の人間で…」

勝手に溢れてくる涙に視界は霞んだ。
必死になって涙を拭う。
意を決したように先生の体から離れた。

「先生はきっと、こんなオレを嫌いになる」
「え?」

先生は戸惑ったような顔をしていた。
オレはそんな彼を尻目にズボンとパンツを一気に脱ぐ。
現れたのはイって濡れたペニスとケツに突き刺さったマッキーだった。
思わず先生は目を見開く。

「オレはずっと先生を想いながらこんな変態みたいな事していた。何度もっ…何度も先生を汚すようなこと、してた!」

室内は締め切っていたせいでオレの精液の匂いがした。
僅かな異臭はホコリの匂いに混じって卑しい匂いに変わる。

「…っぅ…」

暫くの間、室内は無音が支配していた。
先生は口を開かずにじっとこちらを見ている。
きっと変態な自分に言葉を失っているのだ。
オレは彼の顔を見られなくて俯いてしまう。
軽蔑の眼差しは一番オレが恐れていたものだ。
覚悟をしていたとしても深く胸に突き刺さる。
オレの体は恐れと恥辱に震えていた。
まるで捨てられた子犬のように身を縮めて怯えている。
下半身丸出しな格好は情けなくて消えたかった。
だが今更何事もなかったようにズボンとパンツを履けるような雰囲気ではなくて、身動きひとつ出来なかった。

ふわっ……。

すると俯いているオレに暖かな感触が伝わった。

「…え…?」

驚いて見上げれば先生が自分のスーツをオレに掛けてくれていた。
彼の大きなスーツはオレの太ももまでスッポリと隠してくれる。
先生は優しくオレの頭を撫でてくれた。

「そんな事で嫌いになるわけないだろう?」
「ん、でもっ」
「だって俺も同じだから」
「え?」

そういって笑う彼の瞳にはオレを蔑むでもなく、咎めるでもない優しさで満ち溢れていた。
オレはもう一粒涙を零す。
先生は屈んでオレの目線に合わせると優しく目尻を指で拭ってくれた。

「俺も随分小金井を汚してしまったよ。ホント、自分でも最低だって思うくらい」
「う、うそ…」
「嘘でこんな事言えるか。他の人に知られたら即刑務所行きだぞ」
「それはっ…」
「ずっと教師って仕事は天職だと思っていたけど無理だった。俺は教師失格だ」

先生は苦笑ながらオレの手に触れた。
絡める様にぎゅっと掴む。
オレは首を横に振った。
「……なことない」
「え?」
「先生は教師失格なんかじゃないっ」

それは自分が一番知っていることだ。
これだけは胸を張って言える。
ずっとずっと彼だけを見てきたんだ。
それだけは例え本人が否定をしても許さなかった。

「オレはずっと先生を尊敬していたんだ。先生が担任で良かったって思っていたんだ!」
「小金井…」
「それにオレだけじゃないよっ。石本もクラスの皆も先生が大好きなんだよ」

――彼にとっても恋に落ちるというのは不幸な事だった。
知らなければきっと、いつまでも教師でいる事に誇りを持っていたのかもしれない。
じゃあなぜオレ達は恋に落ちるのだろうか。

「小金井」

先生はオレの体をぎゅっと抱き締めてきた。
オレは素直に彼の背中へ手を回す。

「オレは先生が好きだよ。ずっと前から好きだったんだよ?」

やっと素直な気持ちが言えた。
こんなにも苦しかった思いが一瞬で昇華されたような気分だった。
残ったオレには愛しさと暖かさで満ちていて。
許されぬ恋の代償にしては随分優しくて幸せな気持ちだった。

「ぷっ」

すると先生はオレを抱き締めながらクスクスと笑った。
オレは揺れる肩を見ながら「なんだよー」と口を尖らす。

「いや、普段あれだけ俺にいちゃもん付けて来る小金井からそんな言葉を聞くとは思わなかった」
「なっ…だってあれはっ」
「分かっている。照れ隠しだって」
「うぅー」

バレているというのも、恥ずかしかった。
困ったように目を泳がせる。
そんなオレの顔を見て彼はまた笑った。

「いいよ。俺はもう覚悟が出来ている」
「え?」
「だから、一緒に落ちよう?」
「ん…っ」
「誰にも秘密の恋に」

言葉に甘い余韻を覚えながら、オレ達は口付けを交わした。
触れた彼の唇は柔らかくて暖かい。
その問いを肯定するように受け入れた。

「ん、ふぅ…はぁっ…」

一度のキスなんかじゃ物足りなくて何度も唇を重ねる。
もっと近づきたくて必死になって背伸びをした。
するとそれに気付いた先生が押し倒すように机に座らせる。

「んんっ…ひゃっ!」

お尻に入っていたマッキーがぐいっと押された。
その衝撃に思わず嬌声を上げてしまう。
先生は構わずにキスを続けた。
開いた口の中に躊躇いもなく舌を挿入するとオレの咥内を蹂躙する。

「ん、んっ…んぅ…く…」

こんなキス初めてで頭の中はパンク寸前だった。
彼の舌が生き物のように口の中を這い回りオレの舌や歯茎を刺激してくる。
その動きのいやらしさに体がピクンピクンと震えた。
ちょっとでも抗えば角度を変えて何度でも責めて来る。
だから為すがままに咥内を犯されるしかなかった。

「ふぁ…せんっ、んぅふ、ふぅ…ふぅ…」

口の中は先生の唾液と自分の涎でべちょべちょになっている。
ただのキスなのに全身が溶けてしまったみたいに力が入らなくて、唇を離した時には先生の腕に支えられていた。

「こんなキス初めて?」
「あ、当たり前…だろっ」

分かりきっていることをさらっと聞かれて口をへの字に曲げる。
それに気を良くした先生は、何度も触れるだけのキスを繰り返した。
甘く啄ばむような口付けは、オレの乙女心を満たすには十分過ぎるくらいで、うっとりとしてしまう。

「ん、せんっ…せっ…はぁ…っ」

いつの間にか校庭で遊んでいた生徒達も帰ったのか周囲は無音だった。
オレの荒い吐息だけが煩い位に響いて恥ずかしくなる。

「小金井」
「あっ!」

先生はオレのシャツを捲り上げた。
すっかり力の抜けたオレは拒む隙すら与えてもらえず素肌を晒してしまう。

「あ…あっ…ダメっ」

先生はそっと指で撫でる様に触れた。
オレは逃げるように体を捩る。

「どうして?」
「ん、だって…今日、体育があったし」

今日は比較的、気温が高かった。
お蔭で随分汗をかいてしまった気がする。
さすがにそんな体に触れられるのは恥ずかしかった。

「ん、はぁ」
「そんなの知っているよ。俺はお前の担任だぞ」
「ふぁっ…」
「ずっと見ていたんだからな。小金井の事」

先生は首筋に吸い付いた。
僅かな痛みとくすぐったさにオレは甘ったるい声を出す。
その愛撫は徐々に下へと降りていった。

「みっ…見んなよ!ガリ勉メガネ」
「どうして?」
「なっ…っぅ…」

どうしてと言われてもこっちが困る。
だって恥ずかしいから、なんてどんな顔で言えばいいのだろう。
オレは無言で首を振る事しか出来なかった。

「それじゃ分からないだろう?ちゃんと答えなさい」
「う、うるさいっ!いいから仕事しろ!!バカ教師」

そういって彼の胸元をポカポカと叩いたが大して意味がなかった。
力の入らない拳はじゃれあっている様にしか見えない。
だけど先生はどこまでも余裕たっぷりにオレの体を弄っていた。

「まったくお前は。担任に対してバカ教師はないだろうが」
「だって…んくっ、せんせっ…」
「ほら、腰を浮かしなさい」
「ふあぁっ…!」

先生は腰を支えていた手に力を入れた。
ぐぃっと引き寄せられて腰が浮く。
同時にもう片方の手でお尻に刺さったままのマッキーを掴んだ。

「あ、あ、あっ…優しっ…くしてっ…」
「小金井」
「ひぁっ…せんせ、先生っ!」

始めはゆっくりと抜き差しを繰り返す。
オレは口元から涎を垂れ流しながら喘いだ。
それを先生は窺いながらマッキーを動かす。
腰を支える手が熱かった。
オレは必死に先生の肩に掴まりながら鳴き続けた。

「ど…しよっ、オレ!」

気持ちよすぎて死んじゃいそうだった。
先生の指がマッキーを動かしているというだけで内壁はヒクヒクと蠢いた。
チラッと彼を見れば眼鏡越しの余裕が窺える。
瞳だけは熱っぽくて、見つめ合ったまま溺れてしまいそうだった。

「ん、ふぅっ…ふぅ…っく」

すると我慢しきれないように息を呑んだ先生はオレの唇を奪った。
喘ぎながら舌を絡め合わせる。
くぐもった声が資料室内に木霊して自分の耳を犯していた。

「はぁっ…そんな可愛い顔するな。俺の余裕がなくなるっ…」
「だって、せんせっ…オレっ」

もう体は熱く熟れていた。
火照りがどんどん伝染して意識が朦朧とする。

「オレっ…欲しい…っぅ…!」

欲しいものはただひとつ。
それはお互い言わなくても分かっていた。
先生は目の前で跪くと、オレの太ももを舌で愛撫しながらゆっくりとマッキーを引き抜いていく。
オレは捲り上げられたシャツを掴みながら息を荒くさせてそれをじっと見つめていた。

「んぅ、ふっぁ…!」

見下せばオレの肌を舐め回す先生が見える。
昨日までは妄想の世界でしかなかった景色が眼前に広がっていた。
それが信じられない。

「やっ…やだっ…」

先生はヘソから下っ腹にかけて、なぞる様に舌を這わすとオレの性器に触れた。
痛いぐらいに勃起したソレは赤く腫れてベトベトしている。
溢れ出た汁は汚く床に垂れ流していた。

「どうした?」

先生はワザとらしくペニスを扱きながら問いかけてきた。
くちゅくちゅといやらしい水音をたてながらオレを見上げる。
下から覗かれれば隠れようがなかった。
だからイヤイヤと首を振って耐えようとする。

「は…やく、ほしっ…はぁっ…」
「まぁ、焦るなって」
「だめっ…!だって、このままじゃっ…」

もう腰は浮いて勝手に動き出していた。
先生の扱くリズムに合わせて腰を振っている。
そのたどたどしさが余計に生々しくて卑猥に見えた。
だけどもう止まる事は出来なくて。
早くもまたイきそうになっていた。

「くぅっ…ん…せんっ、せんせ…」

オレは前屈みになると先生に抱きついた。
快楽から逃げるようにぎゅっと首に手を回す。
耳元で僅かに先生が笑った。
そのままオレの背中をポンポンと軽く叩いてくれる。

「あー、よしよし。意地悪して悪かったな」
「んぅ、ホントだよっ…もう」

余裕のない自分が恥ずかしくて八つ当たりをする様な口ぶりだった。
それが余計に幼く聞こえたのか先生は笑い続けている。

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