「だめだよ、おっさん。ちゃんとムードを作らないと!ほら、離れて!」
「ん、んっぅ…好き!っ…一平く…っ…はやくエッチっ、…ねっ、しよ?…しよしよっ!んぅっ」
「こらっ!…もう離れてって言ってるでしょ、ばかっ…!」
「あ…う……ご、ごめん…」

おれが子供を叱るように注意すると、おっさんは粗相をした犬のように眉を垂れ下げて謝った。
まぁ、あれだけエレベーターでイチャイチャして急にムードを作れと言われても困惑するだろう。
それでも聞き分けの良いおっさんは可愛い。
そう。
元々はおれに従順でちゃんと言うことを聞いてくれる人なのだ。

「よしよし。おいで」

おれはおっさんの頭を撫でてやると靴を脱ぎ、部屋へ入る。
室内も外観同様に古くさい。
今時全面鏡張りの部屋なんてあるのだろうか。
ベッド回りの壁や天井はすべて鏡になっており、どこを見ても自分の姿が見える。
この部屋を選んだのはおっさんだ。
フロントパネルをちゃんと見ていなかったから他の部屋の内装までは分からないが、なんだか彼の性癖を垣間見たようで愉快な気分になる。

「素直な良い子のおっさんに、おれが特別なものを見せてあげる」

おれはそう言うと服を脱ぎ捨て、女性物の下着を身に付けたままベッドの上で四つん這いになった。
パンツをずらし尻の穴を露にすると、彼のほうに向けて排泄するように力む。

「ん、ん……あぁっ…んぅっ…ふぅっ………」
「一平く……?」
「はぁ、ぁ…そんな遠くからでいいの?…んぅ、もっと近くで見ていいんだよ…?」

おれはアナルに挿入されていたディルドを自力でひり出そうとした。
まるで便を出すように手を使わず、ゆっくりといきみながら出していく。
その様子におっさんは慌てて靴や服を脱ぐと、間近にやってきた。

「あは…ぁ…っえろーい。んぅっ、そんな近くで見たいんだぁ…」

おれが少し後ろに下がれば尻肉に彼の顔が当たるくらいの至近距離で、おっさんはおれの疑似排泄を観察していた。
荒い息が尻に当たって無意識に身震いしてしまう。
それすら興奮するようにおっさんはまじまじとおれの尻の穴を凝視した。
そんなに近づいたら、尻のシワの一本一本さえ丸見えだ。

「ひぁ…っはぁっ…んぅ…この玩具動きすぎだよぅっ…全然出てくれな…ぁっ…」

腸内でグリングリン動き回るディルドがちょっとずつ顔を出す。
お尻から出すたびに擦れる位置が変わり、下半身に力が入らなくなった。
無理矢理にでも出そうと尻を振る。
それが余計にいやらしくて、おっさんは自分のペニスを取り出すと、おれを見ながらしごき始めた。

「あはぁ…くふぅっ、…いっけないんだぁ…おちんちんしごいてる…っ…」
「だ、だって…こんなエッチなの…見てるだけじゃ耐えられないよっ…はぁ、…ねぇ?おじさんが抜いてあげるからっ…そっと優しく玩具を抜いてあげるからっ…代わりに一平君のお尻の中でゴシゴシさせて…っ…?ね?」

おっさんは泣きそうな顔で哀願した。
完全に天井を向いた性器は赤黒く我慢汁を垂れ流している。
ずいぶん立派なイチモツを見せられながら、こんなデカイのを容赦なく電車内で挿れられたのかと思うと興奮で肌が粟立った。

「だーめ!ん、ちゃんと出すところを見て…っ…勝手に抜いたら…このまま帰っちゃうから…!」
「そ、そんなっ…」

おっさんは分かりやすいほど絶望を露にした。
その間も少しずつ抜けていくディルドを血走る瞳で凝視する。
焦らされてもどかしい気持ちと、視界いっぱいに広がる非現実めいた光景に、己の性器をしごく手が益々早く、強くなる。
そんな力一杯にオナニーしたら痛そうなのに、もはや痛覚など感じないほどアドレナリンが放出されているようだ。
淫らなショーを見せつけられながらも、その目に焼き付けんばかりの気迫で見つめている。
まるで視姦されているようだ。

「はぁはぁ、…っどう?…んぅ、どれくらい出たぁ……?」
「ん、まだ半分くらい…だよ…?」
「あぁっ…まだそんなに残ってるの?…こんなに頑張ってるのに…ぃっ…」
「うんっ…うん!一平君すごく頑張ってるよっ…毎日こんな風にうんちをしてるんだね?お尻振っていやらしいなあ…」
「はぁっ?…なに想像してんのっ…んっ、おっさん変態すぎっ……うんちはこんなに暴れないもんっ……」
「がんばれっ、一平君…がんばれ…!」
「ひあぁっ……!」

するとおっさんはそのままおれの尻の穴を舐め始めた。
ディルドを出し途中の広がった穴の縁を器用にもペロペロし始める。

「にゃぁっ!…ちょっ、なに!…あぁっ…ダメって言ってんだろ…っ…!」
「ちゅっぷ、んぅっ…おじさんは玩具を抜こうとしてないよ?一平君が楽に玩具を出せるように、涎で濡らしてすべりを良くしてるんだよ?」
「ひぃぅっ、…らめっ、あぁっ…変なのっ…広がっててっ、ただでさえ敏感なのにぃ…っ」
「ん、んぅ…がんばれ!がんばれ…!」

舌先でなぞるように丁寧に穴の縁を舐められる。
味わったことない刺激に、下腹部に力がこもる。
すると一気に腹筋に力が加わり、腸が異物を押し出すよう動き始めた。

「あぁっ…んっ、こんなに気持ち良く…出すの…だめぇっ、クセになっちゃうっ…!」
「じゃ、じゃあね、おじさんが毎日一平君のお尻の穴をぺろぺろしてあげるよ…っ!…いいよね?毎日気持ち良くうんち出そ?」
「あぁっ…ホントっ、ばかぁ!……ひぅっ、出るっ…にゅるにゅる…出ちゃ…ぁっ…!」

中々出てこなかったディルドがスルスル出てくると、一番太いカリの部分がズルンと抜ける。
本当に排泄しているみたいで、おれは頭が真っ白になった。
同時にベッドの上に白濁液まみれのディルドが転がり、出しきった尻の穴は、くぱぁっと開いたままだらしなく電車で中出しされた精液を垂れ流す。

「はふぅ、はふぅ、出た…ぁ」

一気に異物を押し出した快感と、腹の中に何もなくなった爽快感で恍惚とした。
まるで長い間の便秘が解消されたような気分だ。
尻の穴の緩みと体の緩みが表情に出てしまっている。

「一平君…!」
「うわっ…や……!」

だから強引に手を引かれても抗えなかった。
おっさんは寝転ぶと自分の顔の上におれを跨がせる。
そのままムチムチな両太ももを手で固定すると、ゆるんだアナルを舐め出した。

「あぁっ!あっんっ…、はぁ…!」

ぽっかりと開いたアナルは彼の舌を奥深くまで受け入れる。
ヌルヌルとした舌が縦横無尽に動き回り腸壁を弄ると、そのたびにおれの口から喘ぎ声が漏れた。

「一平君のアナル可愛すぎだよ!すぐにおちんちん突っ込んでやろうと思ったのに、こんなの舐めずにいられないよ!…ごめんね!おじさんに味わわせてっ…!」
「はぁっ、あぁっ、自分の精液が残ってるのにっ、頭おかしいんじゃないのっ」
「んっ、ちゅぅ、うん、おじさんね、大好きな一平君のためなら何でもできるよ!このまま何時間でも舐めていられるよ!はぁ、舌を挿れるとねっ、びくびくって震えるの可愛いんだあ……!」

おっさんは舐めるだけじゃなくお尻中にちゅっ、ちゅっ、とキスをする。

「あんなエッチなところをおじさんに見せるってことは一平君だって可愛がって欲しいんでしょ?さっきの玩具を出すところ録画しておけば良かった」
「や、やぁっ!無理だも…っ、あんな恥ずかしいことっ、…もうするわけないじゃん!…もう、いいっ…お尻舐めないでっ、トロトロになっちゃうっ、閉じなくなっちゃうから…ぁっ!」

おれは咽び泣くように嫌だと首を振ったが、おっさんは許してくれない。
アナルを舐められると下半身がいうことを聞かなくなって、逃れようと腰を浮かそうとしても力が入らなくなる。

「おれデブだからっ…重いのにっ、苦しいでしょ?…おっさん死んじゃうよ…?」

顔面騎乗位の体勢になり、おっさんはおれの重さを一身に受け止めている。
だが、おっさんは苦しそうにするどころか肉の詰まった太ももに挟まれて満足げにしている。
重みや圧迫感がたまらないらしく尻肉を揉みしだいた。
おっさんのペニスは誰も触れていないのに勃起したままガマン汁を垂れ流している。
よほどこの体位がお気に召したようだ。
潰されて悦んでいる彼に、普段であればドン引きしているが、今日は悪い気分にならない。
むしろ神経の昂りは頂点に達して我慢できず自らのペニスに触れた。

「んあぁっ、ちんこしごくの止まんないっ!お尻の穴を舐められながら射精しても…いい?…おれの穴…っおっさんのちんこだけじゃなく舌の感触まで覚えちゃうっ…もしこのまま忘れられなくなったらどーすんだよう…!」
「ん、んぅっ…ちゅ…ぱっ、忘れないで?忘れちゃやだよ!…だから、おじさんにアナル舐められてイっちゃおう?いっぱいきもちよくなれるから出しちゃおうっ?」
「ひあぁっ!…ん…うぅっ!激しっ…おれの穴っ、溶けるぅっ…蕩けて…どろどろ…ぉ…っ」

もはやおっさんの顔に尻を押し付けていた。
淫らに動き回る舌の感触に、身体中電気が走る。
口からは言葉にならない声が出て、悶えるように体を震わせた。
電車を降りてから積もり積もっていた快楽が出口を見つけたように溢れ出す。

「くうぅぅ――……!」

上半身が弓なりになると、全神経がちんこの先に集中する。
そして吹き出すように白濁液が溢れると、ベッドの上を早くもドロドロに汚した。
射精の刺激に意識は半分遠退いていて、思考が働かないくらいの強い快感に唇の震えが止まらなくなる。
息も絶え絶えにおっさんの体の上に倒れこむと、皮膚に指一本でも触れようものなら全身が痙攣を起こした。

「はぁ……はぁ……すご…」

まだ尻の穴がジンジンしている。
ペニスは射精をして一旦落ち着けども腸内の火照りは消えてくれない。
自分の体なのに自分のものじゃないみたいだ。
ちょっとした接触にも鋭敏になり、意識が寸断されそうになる。
あの日、おっさんと二度と会わないつもり別れてから自棄になったように色んな男に抱かれたが、感度が落ちて全然感じなくなってしまっていた。
セックスも楽しくなくなっていた。
なのに今は、おっさんの舌ごときで乱れんばかりに感じてしまっている。

「はぁ、はぁ…おっさ…ん、おれの…おしり…だいじょう…ぶ?…溶けて…ない…?」

溶けるわけないのだが、確認せずにいられなくて思わず問いかけた。
決して人には触らせないだろう秘部を弄らせ、あられもない姿を晒してしまった。
ちょっと挑発させるつもりでやったことだったのに、最後は主導権を渡してしまった。
あんなに乱れて恥ずかしくてたまらなくなる。
なのに、羞恥心が強くなるほど体の熱が上がってしまう。

「一平君のお尻は可愛いままだよ」

おっさんは涎まみれの口許を拭うとにこやかに微笑んだ。
可愛いままってどういうことだよと突っ込んでやりたかったのに、声がでない。
ただ視線は勃起したままの彼のちんこへ行き着く。
ごくり。
ソレで早く貫かれたくて生唾を飲み込む。
おっさんも視線に気付くと見せつけるように腰を揺らした。
お互いにもはや繋がることしか考えていなかった。
ベッドシーツの擦れる音が異様に響く。
淫らな雰囲気が充満する室内で、二人とも肉欲に支配されて軽口すら叩けなかった。

「はぁ……はぁ……ん…」

おれはおもむろに仰向けに寝そべると、無言で汚れたパンツを脱いだ。
同時におっさんが覆い被さってくると、彼は尻の穴にちんこを宛がう。
ぐっと息を呑んだ。
そのまま腰に力を入れ、ゆっくりと少しずつ挿入しようとするが、思った以上に腸内が蕩けきっていたせいか、ずるんと半分くらい一気に入ってしまった。

「ひぅぅうっ!…ば、ばかぁっ……」
「んうっ…っ……くっ…ごめっ……!」

二人とも予想外の快感に身悶えると、そのままの体勢で固まる。
(やっぱ…りっ…このちんこ…ヤバぁ…!)
まだ半分なのに、早くも腰が抜けそうだ。
長さだけではない、太さや硬さ、カリの形までもが好みだった。

「はぁっ…すごっ、これが…一平君の中の感触なんだ……」

おっさんは感無量だと言わんばかりに恍惚としていた。

「ん、さっきだって挿れてたじゃ…ん」
「ももっ、もちろん初めての時も感動したけど、あの時は必死だったし、あまりに気持ち良くてっ、…んぅ、こんな風にじっくり感じられなかったんだよっ…」
「あはっ、おれみたいなヤツで童貞卒業ってのも可哀想だな」

おれは慰めるように肩をポンポンと叩いたが、おっさんは瞳に影を落としながらも首を振る。

「可哀想なんかじゃないよ」
「いやいや…おれみたいな汚れまくったビッチに奪われちゃって――」
「一平君は汚れてなんかないよ」

急に真顔になったおっさんは、そっと優しくおれを抱き締めた。
大きな体で潰さないよう気遣いながら胸に寄せる。
まるで慰められているようだった。

「一平君はいつも可愛くて綺麗で眩しいよ。何度も言っているよね?」
「はっ…なにふざけたこと……」
「ふざけてないよ。いつでも俺は本気だよ。好きだよ、大好きだよ?」
「や、んぅ…っ…また、アンタは…っ…」
「何度でも言うよ?好き、一平君が好き…好きだよ…世界中で一番好き…」

耳元でうっとり囁かれると、おっさんはまだ動いていないのに、彼のちんこをぎゅうぎゅうに締め付けてしまう。
だって恥ずかしいんだ。
好きだなんて言われることは多々あれど、所詮セックスを盛り上げるためだけに使われる言葉で、そこに深い意味はなかった。
でも今、体の奥に刻み込むみたいに繰り返す言葉の甘さに酔ってしまいそうになっている。

「やめ…ろよぅっ…んぅ…!」
「好き、すき!俺が好きって言うたびに、お尻きゅってなるのも可愛い。一平君は全部可愛い…やっぱり好き…!」
「……ざけんな…ぁっ…」
「はぁ、もうずっとこのナカにいたいなあ。火傷しそうなくらい熱くて、搾り取られそうなくらいキツいのに、こんな肉厚でエロいなんて…」
「ひぁ…んぅ、…首筋舐めながら…っしゃべんな……」
「ずっと一平君のアナルを想像しながらオナニーしてたのに、こんなの知っちゃったらオナニーなんか出来ないよ?どうやって責任取ってくれるの?」
「…っ……」
「だから、おじさん専用の穴にしてもいい…?」

おっさんの抱く力が強くなったと思ったら、少し離されて真剣な眼差しで覗き込んでくる。
(…専用の…穴………)
その甘美な響きにイきそうなったのは秘密だ。
そんな提案今までだったらぶん殴って拒否しているところだが……。

「…っぅ…」

目が離せない。
おっさんに見つめられて抗えないおれがいる。
むしろすぐにでも頷いてしまいそうな自分に切なく焦がれる感情がわく。
冷静な己が引き留めようとするのだが、胸が高鳴って止められそうにない。
そうして見つめあったまま返事をしそうになったとき、事件は起こった。

 

 

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