「君は何者なの……?」
ミシェルは立ち上がると、怯えたようにヤマトを見つめた。
その表情を窺おうにも、全く分からない。
素性は不明。
つい数日前に突然声をかけられただけで、ミシェルは噂話だけのヤマトしか知らないのだ。
「さぁ」
「誤魔化さないでよ。どうして僕に声をかけたんだ?どうして、こんなこと……僕はっ……、僕は望んでいなかったのに」
「前に一度言ったよね。僕は君の味方だよ。それで十分じゃないか」
「でもこんな酷いことするなんて!」
感情を露にしたミシェルは興奮しているのか息を乱していた。
それでもヤマトは平然とし、
「酷いこと?僕は君に酷いことは何もしていない」
「でもエオゼン様や理事長は……」
「彼らは当然の報いを受けたのだよ。惨たらしい因習を断ち切っただけの話だ。君だって凄惨な虐めから解放されて楽になっただろう?しかも憧れの専属入りだ。これで一生食うに困らない」
「違う……違うっ」
「何が違う?」
「確かに辛いことがたくさんあって、何度もやめようとした。だけど僕は実力を認めて欲しかった。そうすればいつかきっとエオゼン様も僕を評価してくれる。虐めはなくなるって」
「浅はかな夢だ。君は清すぎた。あの男がそんなことをすると本気で思っているのか?」
「だから僕は挫けなかった!絶対に負けないって思って頑張っていた」
ミシェルは清い。
まるで森深くの泉に湧いた水の如き清純な心を持っている。
故に彼の奏でる音は心地良い。
初めて聞いた時は、自分の心が洗い清められるような気になった。
朗らかな人柄に練習熱心な姿勢は好感を抱かせ、彼の音色が聞きたくて音楽院に通っていた。
しかしある時、ミシェルの秘密を知ってしまった。
エオゼンの陰湿な嫌がらせだ。
ミシェルはそれを自分の試練と捉えて、いっそう練習に励んだ。
その馬鹿みたいに真っ直ぐな性分は、過去の自分を見ているようで眩しく憎らしかった。
(出る釘は打たれてしまう)
何も知らず純真なままのミシェルは、危うい可能性を秘めていて、いつか完膚なきまで叩きのめされてしまうのではないか。
自分と同じように、気付いた時には遅く、全てを失っているのでないか。
そんな予感が胸を締め付けた。
「……君は愚かだよ」
ヤマトは笑った。
ぞっとするほど美しい笑みを見せ、ミシェルの肌が無意識に粟立つ。
「僕はミシェルが羨ましかったし、微笑ましかった。でも同時に苛々していた。世界は君が思っているほど綺麗ではない。能力ある者はいつだって妬まれる。先に蹴落とした者が勝ちだ。そういった汚い輩が君臨する世界なんだ」
「……ヤ、マト………?」
「でも君には綺麗なままでいて欲しかった。世界の真実なんて知って欲しくなかった。だから僕が消してやった。君に仇なす者は全部葬った。ただ君が前だけを向いていられるように仕向けたかった」
違う。
本当は少し違う。
これは復讐だった。
エオゼンを憎むべき復讐の相手に重ねて、ヤマトは彼に罰を与えたのだ。
「……そんなこと、頼んでない……」
ミシェルは消えそうな声で呟いた。
本当だ。
彼はヤマトに何も望んでいなかった。
なのに勝手にヤマトは憎悪を募らせて、善人の顔をして近づいた。
それではエオゼンと同じだ。
自己本位に正義の鉄槌だと正当化して、エオゼンに残酷な結末を用意してやった。
最も苦しむ方法で捨て去った。
長い間に築き上げていた地位や名誉を奪い、一文無しの状態で国から追い出した。
「ごめんね……僕はヤマトにまだ言っていなかったよね」
「…………」
「僕は宮廷専属になりたかったんじゃない」
ミシェルはもうヤマトの目を見なかった。
開いていたヴァイオリンのケースを閉じると、令状と共にヤマトに返す。
「城で弾きたかったんじゃない。世界中の劇場でみんなに聞いて欲しかった。でもそんなこと誰にも言えなかった。みんな目指していたのは城に勤めることだったから。でも僕は地位も名誉もいらなかった。ただ最高の音楽院で演奏家としての実力を磨きたかったんだ」
「……そうか。君がそう思っているなら僕はもう何も言うことはない。だがいいのかい?陛下の指名を断ったらここにいられないだろう」
「分かっているよ。だから僕は学院を辞める」
それがミシェルと交わした最後の言葉だった。
ミシェルは恨み言のひとつも言わず、音楽院を去っていった。
彼は潔く夢を諦めた。
結局ヤマトが将来を潰したようなものだった。
(何をやっているんだろう)
全部上手く進んだのに〝また〟最後の最後で失敗した。
ヤマトは令状とヴァイオリンを城に持って帰った。
ユニウスはちょうど貴族たちとお茶会を開いていた。
煙たい室内で、飲んで食べて気ままなお喋りを続ける彼らが癇に障った。
怠惰な生活、堕落した毎日。
今もこうして厳しい課税に追われている人々が嘘のようにだらけた日々を送っている。
「ヤマト、どうした?」
女に囲まれていたユニウスは、煙草をふかしながら感情の欠落した瞳で笑った。
ヤマトは鏡のように同じ顔で笑う。
「いえ、何も」
そうしてヴァイオリンを取り出すと、目の前で壊してやった。
ロココ調の机に思いっきり叩きつけると、繊細な楽器は簡単に潰れた。
突然のことに女たちは驚いて悲鳴をあげて逃げる。
最後に令状を破り捨てると、動じず見ていたユニウスは、
「これで満足かい?」
そう呟き、ヤマトは小さく頷いた。
***
昔から聞いていたお伽噺は大抵最後に主人公が幸せになる。
悪者は痛い目に合って主人公が勝つのだ。
主人公が死にましたで終わるお伽噺なんて滅多に聞かない。
だけど実際にどれほどその通りの結末が用意されているのだろうか。
本当の世界は、悪者で溢れかえっているのではないか。
どんな手段を用いてものし上がればいいならば、いくらでも手はある。
ならば、手段を選ばず悪に染まってしまった者の方が成功者になりやすいのではないか。
最近ふとそう思う。
所詮現実とは夢も希望もないものだ。
(僕はいつから悪役側になってしまったのだろう)
私利私欲に走った結果なのか。
主人公らしい主人公であるミシェルを不幸な結末へと導いてしまった。
時は戻らない。
この世界に魔法はないから、失敗を取り消すことは出来ない。
ヤマトは王宮を出て、北の外れにある寂れた城に来ていた。
ヴァイオリンを壊したあと、彼の行動は問題視された。
突然の奇行だったからだ。
しかも高価なヴァイオリンを、送り主である陛下の前で叩き壊したのだから問題にされて当然である。
本来ならば罪になるが、ユニウスは許した。
貴族はここぞとばかりに責めたが、彼は決して首を振らなかった。
ヤマトはいっそ処刑にしてくれと投げやりに答えたが、それも聞き入れられなかった。
代わりに、ユニウスの静養に同行することになった。
数名の兵士と小姓、小間使いを連れて、二週間ばかり王宮を出るという。
元々の原因はヤマトにあったから従わざるを得なかった。
そうして辿り着いたのは荒涼とした大地で、落莫とした廃村の奥にひっそりと佇む空疎な城があった。
ここでのユニウスは、狩りに出かけることもなく、酒や煙草もせず、慎ましやかな生活をしていた。
王宮での暮らしが嘘のようだった。
ひとりも女を連れてこなかったから華やかさの欠片もない。
二月の終わりだというのに空気は冷たくて、頭上にはいつも暗鬱とした雲が覆っていた。
広い城のどこもかしこも静かで、昼間でもひとり取り残されたような錯覚を起こす。
王宮では上流貴族たちが話している声がよく聞こえるが、それもなく足音さえ無音に溶けた。
どこにいても、何をしていても寂しいという感情が湧いてくる。
だがヤマトにはその感情の正体が解っていた。
幼少期、乳母に育てられていたころ、こんな風に人気のない屋敷で暮らしていたからだ。
(今さらこんな気持ちを思い出すなんて)
その日は朝から雪が降っていた。
音なく降る雪は深々と積もり、侘しい城からの景色を白く染める。
息苦しい室内から開放されたくてテラスに出ていた。
羽織ったローブの上に雪が降る。
まるで花びらのように舞い、温かな掌に落ちると跡形もなく消えた。
「ここにいたのか」
背後に現れたのはユニウスだった。
ヤマトは返事することなく、黙って視線を遠くへ流す。
遠くに見える村は数年前に廃村となり、住民は揃って隣の町に移ったそうだ。
人がいなくなると、これほど寂寞した風景に変えてしまうのか。
人気のない寂しさに窒息しそうだった。
「この城はどうだ?」
ユニウスは隣に並んだ。
彼は傘も差さず、ローブも着ていなかった。
美しい藍色の髪に、白い雪が吸い寄せられるよう消えていく。
「とても寂しいところですね」
「そうか」
「しかしどこか落ち着くのです。私がこの寂しさを知っているからかもしれません」
「……そうか」
何もない場所に立っていると、己を飾り立てることや他人の気持ちを忖度すること、企むことも馬鹿馬鹿しく思えてくる。
素朴な――何も知らず毎日を生きていた小さなころを思い出す。
その場所に未練を残し、いつかは戻りたいと思っているからかもしれない。
この城に来てからのヤマトは、明らかに気力が希薄になっていた。
ユニウスもそれに気付いていた。
気付いていて知らぬ振りを通してきた。
「陛下はなぜ私に目をかけて下さるのですか」
「特別視しているわけではないよ」
「しかしあなたのような奸智に長けている人間が、私のやろうとしていることくらい見抜けるでしょう?ミシェルのことだって、こうなると判っていたはず。判っていて泳がせていたのですか」
ユニウスは操られた人形のように、希望通り動いてくれた。
だから心底嫌悪していたエオゼンたちを追い出すことに成功した。
思ったとおりの結果に喜びたいのに、どこか引っかかる。
ヤマトの聞いていたユニウスという男は狡猾で、鋭い頭脳を持っていたはずだ。
終始顔色を窺うような貴族に囲まれて、贅の限りを尽くすような怠情な生活に満足できる男ではないはずだ。
「そなたは余のものだ」
「…………」
「だから望むことは何だって叶えたい」
「また戯言を……」
からかわれたと鼻で笑い、柵にかけていた手を離した。
「何故、弟殺しの暴君はそのような甘い男になられたのです」
ヤマトは得心できぬと首を振り、
「――いえ、やはり聞きたくない。私は自室に帰ります」
「ヤマト」
「今夜は荒れるかもしれない。私は静かに過ごしたいのです。夕食もいりません」
空を見上げ、吹く風に不吉な予感を感じとると足早に去った。
これ以上ユニウスの話を聞いていたくなかったからだ。
夜はヤマトの言うとおり荒れた。
雪は止んだが、代わりに強い風が吹き荒れてガラス戸を鳴らす。
時折、遠くの方から雷鳴が聞こえてきた。
ゆっくりと忍び足のように城へ近づき、音を大きくしていく。
ヤマトは布団を二枚被ると、膝を抱えて部屋の隅で震えていた。
彼は雷が苦手だった。
大抵の嫌なことでも澄まし顔で切り抜けられるが、雷だけはどうしてもだめで、一切他人と接触することを拒んだ。
王都は寒暖の差がなく、雨は降るが雷が鳴ることは滅多にない。
雪や嵐も稀で、統治しやすい場所だと思う。
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
ヤマトは青白い顔で俯いたまま身動きひとつしなかった。
机に置いてある蝋燭のお陰で真っ暗ではなかったが、それでも心細かった。
部屋に響き渡るカタカタとした音はヤマトの体が小刻みに震える音で、無意識に速くなる鼓動を抑えようと必死で耳を塞ぐ。
(早くどこかへいってくれ)
焦らすように近づく雷に苛立った。
さっさと鳴るだけ鳴って静かになればいいのに、今夜は雷鳴が長引いていた。
だからといって誰にも苦手であることがいえなかった。
格好悪いからではない。
誰かに弱みを吐露するのが嫌いだったからだ。
同時に話すということはヤマトの過去を振り返らねばならない。
忌まわしい出来事を思い出さねばならない。
彼の心には決して癒えることのない傷が刻まれていた。
その傷は小さな体では耐えられないほど深く大きいものだった。
外は嘲笑うように天気を悪くして雲が唸り声をあげている。
――その時だ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ――!
ドド――――ッドン――!
一瞬、窓の外が昼間のように明るくなると、地響きのような激しい音が響き渡った。
近くの木に雷が落ちたのだ。
腹の奥まで響く音は、ヤマトの胃を捻じ曲げ、悲鳴すら呑みこんで、呼吸が出来なくなる。
つい先ほどまで遠かったのに、急に大きな音をあげられて気が変になりそうだった。
「誰か……誰か……っ」
恐怖のあまり倒れこむと、起き上がることも出来ず、床を必死な思いで這い、手を伸ばす。
縋りつくように助けを求めたところで、その手は空しく宙を切るだけだ。
雷は雨雲を呼び、ガラスには叩きつけるような雨が降ってくる。
それでも雷鳴はやまず、数度に渡って近くに落ちた。
その度に意識が寸断される。
冥い瞼の奥に、思い出したくない過去が映し出される。
あれはまだ幼かったころ。
ヤマトは別の名で皇子として生きていた。
父親は帝と呼ばれて、会う機会は年に数えるくらいだったが、ヤマトは尊敬していた。
(僕も父上のように尊敬される人になりたい)
しかしヤマトには兄がいて、おそらく彼が父の跡を継ぎ帝になるのだろう。
彼は兄も尊敬していたから、仕方がないと潔く諦められていた。
むしろ兄のため――彼に仕えるならば優秀でありたいと、幼いころから勉学に励み、相応の結果を残すようになった。
そうして寂しくも穏やかな日々は続き、いつしかヤマトは神童と呼ばれるようになった。
彼は多くの人の声を一度で聞き分けると理解し、的確な切り返しが出来るようになっていた。
国造りにも興味を抱き、どうしたら万民が豊かに暮らせるかと子供ながらに頭を捻らせた。
(国の制度を見直せば、より良い方法が浮かぶかもしれない)
そのころには頻繁に都へ出入りしていて、父親に意見を述べていた。
ヤマトは現行制度の見直しと身分の整理を手始めに、それぞれの人間が何を求めているのか、現在のあり方では何が足りないのか模索し始めた。
農村や町にも顔を出しては、人々に意見を聞いて回ったという。
それだけじゃなく、幼いころから雅楽を嗜み、和歌を詠むのも得意としていた彼は、平民だけでなく貴族や父親からも一目置かれた存在になっていた。
何もかも順風満帆な日々。
ヤマトは充実した毎日を送っていた。
――そんなある日。
事件は嵐の夜に起こった。
ヤマトは静養に幼少のころ住んでいた屋敷へと来ていた。
彼は身軽に動くため、連れる供の数は少なく、屋敷内は閑散としていた。
天気が悪かったため、早々に寝室へ引き上げると眠りについた。
どれほど経ったのか判らない。
付き人の冬月がヤマトを強引に揺すり起こした。
夜もすがら擦った目を開くと、緊迫した顔で覗き込んでいる。
「起きて下さいませ!早く、早くっ」
「うぅ、ん……どうした?」
「何者かが屋敷を襲っているようでございます」
「なんだって!」
切羽詰った声に、何事かと飛び起きると屋敷内は騒がしかった。
冬月は急いで身支度を整え、周囲を見回しながら様子を窺っている。
庭へと出られる縁側を開け、逃げ道の確認をしているようだった。
「でも他のみんなは――」
屋敷からは悲鳴があがっている。
ヤマトにとって大切な仲間たちの声だ。
彼らを放って自分だけが逃げて良いものか。
(僕だけ逃げるなんて嫌だ)
真っ直ぐな心持ちの少年は、迷いなく刀を取ると、助けに行こうとした。
武芸だって一通りこなしてきた。
自分にも何か出来ると信じて疑わなかったからだ。
しかしそれは冬月によって止められた。
彼は頑なに首を振って許さなかった。
その間に次々と屋敷内には断末魔が響き渡り、凄惨な声がここにまで届く。
駆け回る足音は、もうヤマトのいる部屋まで来ていた。
「逃げるのです。皇子にもし何かあれば我々は死んでも死にきれませぬ」
「冬月」
「後生です。今だけは言うとおりに……!」
その時、背後で雷が落ちた。
体の芯にまで響く轟音だった。
「――見つけたぞ」
部屋にひとりの男が現れる。
再び雷鳴が響いた。
一瞬、室内に光が射す。
眩いばかりの稲妻が走ったのだ。
同時に男の顔が浮かび上がる。
その顔に、ヤマトはこれ以上ないくらい目を見開き息を詰めた。
「あ、兄上っ――!」
男の持っていた刀が、美しいまでに赤く染まっている。
ぽたり、ぽたりと水滴を垂らし、畳を濡らしている。
「悪いがお前には死んでもらわねばならぬ」
以後、ヤマトの記憶はおぼろげだ。
彼に向かって真剣が振りかざされたが、冬月が身代わりとなって斬られた。
それでも冬月は歯を食いしばり、ヤマトを逃がすため、倒れることなくその場で踏ん張ると、兄の刀を掴んで押し問答をする。
ヤマトは動けなかった。
目の前で起きていることが夢うつつで理解できなかったからだ。
(兄上が僕たちを殺しにきた……?)
その年齢で受け止めるにはあまりに非情な現実に言葉を失う。
全てが蝋燭の炎のように揺らいで見えた。
次第に意識が遠のく。
雷の音が険しくなる。
雨の音も激しくなる。
彼の頭には双方の音だけが響いて何も聞こえなくなった。
次に目が覚めた時、彼は船上にいた。
そこであの夜の出来事を全て聞いた。
お付きの権次郎は、庭側からヤマトを助けにやってきた。
立ち尽くしたまま意識を飛ばしていたヤマトを決死の思いで抱えると、それを見ていた冬月は「構うな!行け」と叫んだ。
権次郎は冬月の覚悟を理解すると、振り返ることなく屋敷から去る。
永久の別れは一瞬で終わる。
冬月は兄にとどめを刺されて死んだ。
結局ヤマトは何も出来ず、仲間を見殺しにして逃げてしまった。
無力な自分に嘆き、悔しさに血の涙を流した。
しかし突きつける現実に容赦はなかった。
落ち込んでいる暇はなかった。
権次郎は追っ手から逃げるため港で船に乗った。
大陸へと向かう貿易船で、荒れたため着くのに数十日かかった。
権次郎は屋敷で負った怪我が悪化して、一気に体調を崩すとそのまま船の中で息を引き取った。