7

「ちが…ふ……ぅ」
「何が違う?」

人を虐めている時のエオゼン先生は何よりも輝いていて生き生きしていました。
そんな顔を見られるのなら、どれだけ酷いことをされても構わないなんて、僕は恍惚としながら思っていました。

「代わりじゃな……」
「あぁ?」
「僕の指が…あぁん、代わりなんです……ひぅ、先生のちんこを…想像してっ、いっぱい…いじっているのに、全然きもちよくな……あぁ――!」

すると言い途中で指が抜かれちゃいました。
代わりに先生の性器がずんっと奥まで挿入ってきました。
指では届かなかった奥まで突き上げられて、僕の膝はガクガクと震えました。

「はぁ、どうだ?俺のちんぽは。お前をこんないやらしいヤツにした元凶だぞ」

冷ややかな口調で先生は呟きますが、僕の脳みそはそれどころではありませんでした。
数ヶ月間待ちに待った先生のちんこです。
散々僕に快楽を叩きこんだ悪いちんこです。
体が心が思い出すように身震いしました。
お尻を締め付けて味わうように熱を感じ取ります。

「ひぅ、元凶なんて…言い方やめてくださ……」

僕は振り返ると、エオゼン先生を見上げました。
ひりひりするほどの刺激に顔を歪ませながら、とろんと瞳を潤ませます。

「僕を可愛がってくれる…素敵なちんこです……」
「ハイネス――!」
「んきゃ、あぁっ……んぅ、んっ――!」

すると、エオゼン先生は獣みたいに襲いかかってきました。
腰を掴まれてガンガン突き上げられます。
あまりの激しさに口から悲鳴にも似た声をあげますが、慌てて手で塞ぎました。
それでも口許から漏れてしまう嬌声に、シャツの裾を咥えてやり過ごそうとします。
ですが、それはエオゼン先生を煽っただけでした。
お尻を突き出しながら布を咬む僕の姿は、あまりに卑猥で彼の血を滾らせてしまいます。

「くそっ……こんなガキに――!」
「ふぁ、あぁっ…せんせっ」
「おらっ、こっち向け」
「ひゃぁあ」

エオゼン先生は僕の片足を掴むと、そのまま体をひっくり返してしまいました。
お尻にちんこを挿入されたままぐりんと向きを変えられて、腸内は摩擦に激しく収縮します。
僕はその衝撃に射精してしまいました。
ちんこを触らずともイってしまいました。
あれだけ何度も自分で触り、何も出なかったちんこから気持ち良さそうにぴゅっぴゅと精液が飛び出てきました。
それでも構わずエオゼン先生は僕の体を仰向けにすると、イったばかりの僕の顔とちんこを見下ろします。

「はふ…はふ…んぅ、みな、見ないで…ください……」

こんな恥ずかしいところ見られたらたまりません。
僕は気をやったせいで下半身に力が入らず、なすがまま股を開いていました。
慌てて手で隠そうとしたら、その手を掴まれて、手の甲にキスをされてしまいました。
エオゼン先生の色っぽさに、身が溶かされていくようです。
いつも意地悪なくせに、ふとした拍子にこんな優しく触れてくれるから嫌いになれません。
卑怯です。
僕ばかりときめいて頬を赤くさせてしまう。
(こんな風に触れるのは僕だけじゃなくちゃ嫌だ)
始めは怖かったし、辛くてたまりませんでした。
僕は玩具扱いだったのです。
(なのに――)

「そこいらの女よりお前が可愛いと気付いたのはいつのことだったか」

息を吐くように囁く声は、あまりに掠れて僕の耳には届きませんでした。
代わりに、彼の手が僕の頬を包み込みます。
そっと羽のように柔らかな感触は、僕の感官を揺らしました。
いつからこんな風に触れてくれるようになったのか覚えていません。
いつからこんな風に熟れた眼差しで見てくれるようになったのか覚えていません。
意地悪なのは変わらないのに、熱を帯びた瞳が変化を知らせてくれるのです。
途端に胸の奥が軋んできゅっと絞られました。
言葉にならない焦燥と、爛れそうな甘さが込み上げてくるのです。

「エオゼン、先生……」

僕は頬を包む手のひらに擦り寄りました。
頬ずりして甘えるように目を細めます。
冷えた手は火照った体には気持ちよく感じました。
気を許して、うっとり浸っていました。
次第に擦り擦りするだけだと物足りなくなって、その手に僕も口付けます。
小鳥が啄ばむようにちゅっちゅっと唇を落としていると、エオゼン先生が覆い被さってきました。
僕の唇を指でなぞると、

「こっちにも同じことをしろ」

己の唇を指して命令してきます。
彼の命令は大抵厄介で渋々従うことの多い僕でしたが、その時は心の襞をくすぐられるようなおかしさに、

「はい、先生」

素直に先生の首に手を回すと、その唇にキスをしました。
エオゼン先生とのキスは顎ひげがくすぐったくてムズムズするのですが、もう何度もしているせいかそれにも慣れてしまっています。
薄い唇に吸い付いて音を立てると、僕のお尻に挿っていたちんこが脈打ちました。
僕も下っ腹を疼かせて無意識に腰を揺すってしまいます。
そうして子どものような口付けを楽しんでいると、それまでされるがままだったエオゼン先生が舌を入れてきました。
大人のキスです。
僕がするのとは比べ物にならないくらい卑猥で、気持ちいいキスをしてくれるんです。

「んぅ……んぅっ」

同時に抽送が始まりました。
ゆっくりとエオゼン先生が腰を動かします。
僕のお尻の穴は待ちわびていたようにヒクヒクと蠢きました。
お腹の奥の奥まで刺さったエオゼン先生のが、僕の直腸を蹂躙するのです。

「ん、んっふ……んぅっ」

僕はもっと密着したくて、彼の腰に足を巻きつけました。
二人の体にほんの僅かな隙間も作りたくなくて蔓のように絡ませます。
こんなに優しく抱かれたら愛されていると勘違いしてしまいそうでした。

「はぁ、っん、今日は…どうしたんですか?あぁっ…こんな風に抱いてくれたことなんて…っ、ないのに…」
「うるせえな」

エオゼン先生の口調はいつも通りですけど、頭を撫でてくれる手は慈愛に満ちています。

「元はといえば、お前がっ」
「ん、んっ…ぼく?」
「酒場であんな顔して俺を見ているのが悪い」
「あぁっ、そんなこと……言われてもっ、んぅ!」

困ります。
エオゼン先生は僕の言葉に顔を寄せてきました。
ほんの少し顎を上げるだけで唇が触れそうな距離で僕を見つめています。
その視線の熱さにくらくらしました。
焦点がぼやけてしまえば楽なのに、目はどうしたって彼に吸い込まれてしまいます。

「キスして欲しそうな顔をしてた」
「……っぅ……!」
「俺に抱かれたそうな顔で――」
「やぁあっ」

僕はエオゼン先生の言葉を遮ってしまいました。
だって最後まで言わせたくなかったんです。
図星です。
触られるのが気持ち良くて、いつまでもずっとそうしていて欲しくて、それで僕……。

「はぁ、んぅ、まさかそれで……僕を待っていたんですか!」
「悪いか?」
「ひぁん…だって、こんな寒い中……あぁっはぁっ……!」

すると、急にエオゼン先生のピストンが速くなってしまいました。
言い途中のまま途切れ途切れに喘ぎ声を漏らします。

「あんな顔見せられて、お前を抱かずに眠れるか」
「あぁっ、んぅ、んっ……ごめんなさ……っ、はぁっ」
「ずっと我慢してきたのに、このクソガキが」
「…んぁぁあ、あっ……せんせ、せんせい……!」
「今夜は俺が満足するまで寝かせてやらないからな」
「はあぁっ……んぅ――!」

甘ったるく囁かれたと思ったら、深く口付けられてしまいました。
僕とエオゼン先生が言葉を交わしたのはこれが最後でした。
あとは外が白み始めるまで、ひたすら互いの体を貪るのでした。
下がお店で良かったです。
お父さんとお母さんの寝室が、居間の向こうで良かったです。
じゃないとベッドの軋みや僕の喘ぎ声で気付かれてしまっていたかもしれません。
それくらい激しく抱かれたんです。
寒い部屋、互いの吐息を白く染めて熱を共有するように肌に触れたんです。
人肌の恋しさをぶつけるようでした。
以前のように酷いことや荒々しくはされませんでしたが、代わりに粘っこく執拗で、いつまでも体を離してくれませんでした。
体液まみれのベッドは湿って酷い匂いです。
二人とも髪を振り乱してボサボサでした。
まるでケダモノ。
痴態の限りを尽くしたといっても過言ではありません。
体中にエオゼン先生の痕を残されてしまいました。
胸や背中だけでなく、臍の回りも、太腿も、脇の下もいっぱい吸いつかれて、いたるところに卑猥な花びらを散らされてしまいました。

「ひっぅ、も…どれだけ中に出せば……気が済むんですか……」

閉じる気力もないまま投げ出された僕の足は、精液でベトベトでした。
乾く間もなく白濁液に汚されて、匂いが染み付いてしまいそうです。

「どれ、見せてみろ」
「くぅっ……はぁっ」

僕は強引に足をM字に開かせられて、精液を垂れ流すお尻を見られてしまいました。

「はっ…ひ……見ちゃ、やぁっ」
「ほぅ。俺の精液を垂らしながら感じているのか」
「あぁっん」
「以前から感度が良かったが、増して凄いな」

散々抱かれたのに、僕のちんこはぴんと勃っていました。
それを先生の指で弾かれたので、ひと際甲高い声が出てしまいます。
未熟な桃色の亀頭から汁が溢れていました。

「ふぅ、ふぅ……ん、はぁ……わかんな……」

自分の体のことなのに、よく分かりません。
だけどぞくぞくして止まらないんです。

「ひぅふ……っ」
「おお、また出てきた」

僕の意思に反して逆流してきた精液がとろりと零れました。
(なにこれ……きもちい……)
次々に溢れる汁が布団に染みを作っていきます。
僕は身悶えるように震えました。
おしっこみたいに垂れ流す精液に興奮し、

「かなりの量を仕込んだようだ」
「くぅん、そう言って…るのに……ぃっ」

息が触れるくらい間近で見られていることに興奮し、いつまでも絶頂の波が引かないような快感で脳が痺れていました。
肌に先生の息がかかるたび、蚊の鳴くような声で「あっ」と喘いで、びくんと腰を揺らします。
すると、至近距離からそれを見つめていた先生は、舐めるよう視線で僕を犯しました。
その光景によほど興奮したのか、彼はしきりに生唾を飲み込んでいました。
羞恥心と快楽の狭間で翻弄されている僕はその眼差しだけで気をやってしまいそうです。

「お前は男で良かったな」
「く、あぁっ」
「こんなに出されたら、普通、俺の子を孕んでいるぞ」

先生は我慢できずに、僕の足の付け根にキスをしました。
敏感な皮膚は急な刺激に全身を震わせます。
その反応が益々エオゼン先生を煽ったらしく、ねっとりと舌を這わせました。
彼のちんこは再び熱くなっています。
また僕の中に入りたくなっているんです。
犯すつもりなんです。
元気すぎて呆れてしまいますが、それだけ僕に欲情しているのだと思うと、体の芯が甘美に疼きました。

「あ、あ、っ…そな…、乱暴に掻き出しちゃ……っ!」

ゆるゆるになったお尻の穴を、先生は指で拡げました。
そして腸内の精液を掻き出します。
もう粘膜はとろとろでした。
熱を持った内壁は不規則な収縮を繰り返しながら熟れたように刺激を待っています。
形良く締まっていた肛門は、荒淫の果てにだらしなく崩れ、ヒクヒクと男を誘っていました。
指を咥えこんで嬉々と離しません。
僕はその快感にシーツを掴んで髪を振り乱し耐えました。
朝方の清々しい空気など皆無で、室内には二人が放った体液の濃厚な匂いが支配していました。
鼻が麻痺していて僕らは気付きません。
好き勝手にお尻を弄られている僕には余裕すらありません。
何度その手に啼かされたのでしょうか。
自慰をしていた時とは比べ物にならないくらい気持ち良くて、夢を見ているようでした。
ですが、夢は優しいものです。
こんなにも過激で、生々しくて、執拗ではないでしょう。
僕は薄く目を開けると先生を見ました。
彼はずっと僕を見ていたようで、目が合った瞬間、腸内に差し込んでいた指をぐりんと回し、乱暴なくらいの勢いで抜きます。
腰が抜けたかと思いました。
そんなに指でほじられたらたまりません。
先生も同じでした。
痛いくらいに勃起したちんこで、僕に覆い被さるとニヒルに口角を上げます。
浅ましいほど欲望に忠実な彼は、上唇をペロリと舐めると、自らのちんこを穴に宛がいました。
その瞬間、体温が急上昇したみたいに体が火照ってきます。

「んあぁぁっ、またきたぁ……っ!」

僕はかぶりを振りながら、再び先生のちんこを受け入れました。
滑りよくズルっと挿ってきた衝撃に上体は弓なりになります。
腸内は精液で溢れ、ぐちゃぐちゃのドロドロです。
ここが排泄器官であることさえ忘れていました。
先生専用の穴にされてしまったんです。
これだけ執拗に教え込まれたんだからしょうがないんです。
僕の体は従順で、求められるがまま淫らに咥え込みました。
痛みや違和感なんてとうに消えて、内臓を刺すような迸る快楽だけが残りました。

「ん、んっんっぅ…ふぅ、ぅ」

僕のちんこはもう薄い精液を垂らすくらいです。
それでもイってしまうのは止められませんでした。
お尻だけで気持ちよくなってしまうんです。
男のくせに恥ずかしい体にさせられてしまったんです。
文句を言いましたが、むしろ喜ばせただけで徒労に終わりました。

「くぅっ、またイくぞっ」
「も、お腹いっぱ……っ……!」

掻き乱されて僕の体は限界でした。
手を引かれて起き上がると、先生の体に乗っかって下から突き上げられます。
ずるいです。
この体勢ならどんなに嫌がっても中で出すことを許してしまうんです。

「ひぅっ、へんに…っなるっ……!」

僕は先生の広い胸の中で、小刻みに揺れながら喘ぎました。
涙と涎で酷い顔をしていたと思います。
しかし逃げ場はありません。
彼は僕の腰を力強く抱き寄せました。
抗う気すら失せる甘い抱擁に、恨めしげに見上げればキスをされてしまいました。
抱かれる人の心を熟知しているんです。
今のエオゼン先生は、いつ髪を梳かしたかも分からないモジャモジャ頭で、顎だって無精ひげが生えています。
みすぼらしい格好に酒浸りな毎日で、女性は寄りつこうとしません。
ですが、宮廷オーケストラに所属していたなら、華やかな場所にいたはずなんです。
たくさんの女性に囲まれていたはずなんです。
だから、抱き方もよく分かっている人なんです。

「どうした?今は俺のことだけ考えていろ」
「ん、んっ…横暴で…っんぅ、ちゅ……っ!」

すぐに見透かされた僕は、さらに激しく貫かれ、荒々しく唇を奪われてしまいました。
(そんなこと言われたら……もうエオゼン先生しか見えなくなってしまう)
上の口も下の口も塞がられて蕩けてしまいました。
出来上がった顔は、表情筋が使い物にならず、だらしなく目を細めています。
絡みつく舌に吸い付くと、お返しと言わんばかりにペロペロされてしまいました。
全身溶けそうな酩酊感に、もはやなすがままです。
二人は性欲のままに互いを貪りました。
射精するためだけに腰を振りました。

「んぅ、んん――――!」

イク時もねっとりとしたキスに浸っていました。
体中の隙間を埋めて抱き合い果てます。
この世界に、これ以上気持ちいいことなんてないでしょう。
せっかく掻き出された精液は、またお腹の奥で出されてたぷたぷになりました。
イっても唇は離しません。
僕は意識がなくなるまでキスの雨に酔いしれていました。

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